スーパーカー対決 フェラーリ458イタリアとライバルたち 回顧録 後編
公開 : 2019.01.04 07:10
スムーズな路面では速い
より高速なモードにすると攻撃性が露骨に現れる。数多くのモードが用意されているにもかかわらず、中間のちょうど良いポイントというのが実質上存在しないのだ。というわけで最強の攻撃的なモードにしておき、人間のほうが我慢することにした。
ひらけたスムーズな路面では、LFAは信じられないほど素晴らしい仕上がりの良さを感じさせる。今回の中では唯一のフロントエンジンのクルマだという事を考えれば、ミドエンジンの他のクルマに比べてシャープネスに欠けていても許せると思っていたのだが、高速コーナーのターンインでもLFAは驚くほど切れ込みが鋭いのである。
路面がドライだったこともあってグリップは見事であり、ビスポークの装備であるブリヂストンのタイヤは実に素晴らしいグリップ力を備えていた。ここでこうしてLFAを運転していると、どうやってこんなクルマが誕生してきたのか不思議に思うに違いない。
なにしろこのクルマはどう考えてもレクサスやトヨタのエンブレムをつけている他のクルマとは対極にあると思えてしまうからだ。エンジンは実に躁の極みであり、トランスミッションはまさに一本気で、しかもシャシーはどこから見ても真面目な造りなので、このクルマはロードカーというよりもむしろGT3のレーシングカーに乗っているようにさえ思えてしまう。