スーパーカー対決 フェラーリ458イタリアとライバルたち 回顧録 後編
公開 : 2019.01.04 07:10
911の独特な走り
どちらのクルマも素晴らしくエキサイティングでスリリングなクルマであり、「乗るなら絶対にこのクルマ」という日は間違いなくあるだろうが、どちらのクルマにも妥協がある。LFAはこの価格のクルマとしては絶対的な動力性能が今ひとつ物足りない。
またブランドの知名度も今ひとつでインテリアにもそれほど特別な高級感を感じさせないクルマに20万ポンドを投じるのは、熱狂的なノーブル信者だけに限られるだろう。
最後に言っておくと、最初に脱落したのはレクサスで、理由は要するに、傑出した高品質と極めて魅力的なエンジン、それに異次元のルックスを備えてはいても、走るべき道においてノーブルほどきちんとした走りを見せてくれなかったからである。
次に2種類の非常に異なった、スーパーカーを造るのに正反対のアプローチを取ってそれぞれの頂点を極めたクルマである。今回のような道路で911 GT3 RSの走りはやはり傑出しており、フィールやサウンド、ヴァイブレーションに富み、さらに走りそのものがチャレンジであるというのも見事だが、それは逆にいうならこちらのほうが速く走らせるのが困難であるという事実の証明でもある。
すべての911に共通することだが、このクルマは独特の重量配分に従って走るべきであり、それに逆らったら絶対にまともには走れないわけで、ノーズをコーナーに向けるにはスロットルをうまく活用する必要があり、脱出時にはトラクションを最大に発揮できるよう姿勢を整えておかねばならない。