スーパーカー対決 フェラーリ458イタリアとライバルたち 回顧録 後編
公開 : 2019.01.04 07:10
ロードカー最強は458
フェラーリの場合は全く異なった体験が待っている。ステアリングやスロットルの入力に応じた姿勢の変化ははるかに少なく、クルマは見たところ流れるようにコーナーからコーナーへと何の努力もなくすり抜けて行くように見え、その際に感じる慣性の移動もごくわずかである。
そして精緻な電子系統が背後で働いていることを自覚したとしても、それが表面に出て来て走りの体験に介入することはない。ただ458の卓越した走行性能と驚くべき速さに驚嘆するばかりだ。
どちらが優れているか? GT3 RSは911の中では最高のルックスだと思うし、最終的に完璧な環境の道路を走ったら、やはりこちらのほうが濃密なスリルを味わうことができる。しかしフェラーリの隣ではやはりワンパターンの感を免れないし、それに911 GT3 RSを本当に楽しんで味わえる場所はやはりサーキットである。
458イタリアはサーキットでも見事な走りを見せるが、やはり基本的にはロードカーであり、その立ち位置を極めた上で傑出しているのである。事実上ノーブルと同じくらい速く、ポルシェと同じくらいスリリングで、レクサスと同じくらいドラマチックで、しかもこの中ではいちばん扱いやすい。
もしランボルギーニがここにいたとしても、やはり458イタリアの勝ちとなっただろう。新たなスーパーカーのベンチマークに疑問の余地はない。次は、そう、マクラーレンの番だ。