新型スープラ 開発責任者のことばを紐解く トヨタが考えるFR像とは
2019.01.06
「後からではどうにもならない」パッケージ
「86をやって思い知らされたことは、ディメンションや重心高などの基本諸元を本当に考えて最初に決めないと、後からのチューニングではどうにもならないところがあるということでした。パッケージレイアウトを超えることはできません」と多田氏。
前出の “1.6以下” という数値もお手本としたポルシェのそれを参考に多田氏以下のチームが導き出した指標という。それを実現した2470mmというホイールベースはZ4でいうと先代より短縮されており、これはどうやらトヨタの提案をBMWも受け入れたようだ。また、既存トヨタ/レクサスを基準にした重心高やボディ剛性も、トヨタの数値目標をBMWがきちんと満たしたということだろう。
まあ、重心は低くボディ剛性は高いに越したことはない。しかし、クルマのキャラクターにつながるホイールベーストレッド比については、BMWとの間にそれなりの激しい議論があった……と多田氏は振り返る。
というわけで、そんな新型スープラのプロトタイプを、私も袖ヶ浦フォレストレースウェイでちょい乗りさせていただいた。冒頭のように今回の試乗車の詳細はほとんど明かされなかったが、おそらくはひとまずのトップモデルとなるであろう3.0ℓ直列6気筒ターボで、スペックはZ4におけるM40iに相当する339ps、50.9kg-m近辺と想像される。また、スープラではトヨタ流に “AVS” と呼称されるという連続可変ダンパーも備わっていたが、これもハードはBMWの “アダプティブMサスペンション” と同じものだろう。