小型スポーツカー対決 ロータス・エリーゼとライバルたち 回顧録
公開 : 2018.12.31 10:40
走りと品質を両立
そこで問題となるのが、そんなエリーゼの速さを許容できるかどうかである。実はそれほど速くはなく、決して印象的なデザインでも高級な装備でもなく、そして実用性はほとんどないスポーツカーに、ただ熱中できるドライビング体験を与えてくれるからという理由だけで510万円を投じられるのならば、選ぶべきはエリーゼである。そういう価値観に基づくなら、500万円クラスでもっとも運転に没入できる魅力的なスポーツカーは、間違いなくエリーゼだ。
しかしこの事実は同時に、500万円クラスで総合的に最高なスポーツカーはドイツ企業がポルトガルで製造しているクルマだという結論をも明確に指し示している。
シロッコRの信じられないほど高い動力性能や確実で精密なハンドリングやVWのトレードマークである長所、つまり卓越した組み立て品質と最高級のリファイン、それに4人が広々と乗れる室内空間という組み合わせは、あまりにも強烈な、あらがいがたい魅力である。
初期モデルから一貫してそうだったように、最新モデルでもエリーゼは依然として素晴らしい遊び道具であった。変わったのは、この価格帯からこのクルマを選択する条件として強いられる品質や動力性能における多くの妥協を甘受する決意が加えられたところだ。だが、シロッコRを買えば、その欲望は両方ともに満たされるのである。勝者はシロッコRだ。