小型スポーツカー対決 ロータス・エリーゼとライバルたち 回顧録
公開 : 2018.12.31 10:40
最高のハンドリング
そのときどきの最新のエリーゼが常にそうであったように、この最新型のステアリングもまた本当に最高としか言いようのない素晴らしさを備えている。いまだにパワーステアリングは採用されていないが、そもそもそんなものはこのクルマには無用である。
前車軸にかかる重量比率がきわめて少なく、しかも比較的軽量で細めの16インチホイールと175幅のタイヤを履いているのだから当然だ。おかげで、タイトコーナーの入り口で前輪がフルロックする約30度の切れ角まで操舵するにはそれなりの力が必要となるが、代わりにフィードバックは文字通りダイレクトで、それは世界中で大量に売られているどの新車でも絶対に得られない感触である。
路面のグリップやキャンバー角の変化が絶えず指先に感じられるので、舵角を取り過ぎてフロントタイヤがアンダーステアを示し始めたら即座にわかる。この能力があるからこそ、持てるグリップとアジリティを最後の最後まで使い切ることが可能だと保証されている確信が、エリーゼのステアリングからは得られるのだ。
リアタイヤについても十分に信頼できる。多くの歴代モデルがそうだったように、最新型もまた中速から高速のコーナリングでは終始一貫、安定したニュートラルなラインを描く。スロットル操作には敏感に反応するからアペックスで意図的なタックインに持ち込むことも可能だが、決して完全なオーバーステアになだれ込んだりはせず、フルパワーでも安心して振り回せる。これは間違いなく、太めのリアタイヤとあえてLSDを装備しなかったオープンデフのおかげだろう。