小型スポーツカー対決 ロータス・エリーゼとライバルたち 回顧録

公開 : 2018.12.31 10:40

FF最強のライバル

ここまでは「価格が高すぎてアンダーパワー」なエリーゼが有利に勝負を進めてきた。Zが327psのV6を搭載しながらもその優位を発揮できずに苦闘するのを横目に平然と大差をつけた。ロードスターという英国のバックロードを得意とする数少ない傑作車を相手にしても、少なくとも価格差に見合った走りの差は見せつけることができた。しかし今度は、そのどちらよりもタフな相手が待ち受けている。

シロッコRは登場以来本誌上で予想外の好評を受け続けてきた。速いFF車としては本誌がフォード・フォーカスRSよりも推奨する唯一のクルマであり、ルノーメガーヌ250カップよりも気に入っている唯一の存在でもある。そして今回のような、路面が荒れてところどころ濡れており、しかも先の予想がつかないような道でも、エリーゼと同等の完璧なダイナミクスと巧妙な走りを見せる強敵だ。

バランスの取れた安定した乗り味でバンプを高速で乗り越し、スリッパリーなコーナーでも平然とこなす精密で確実な走りをシロッコRは備えている。スリルの純度はエリーゼほど高くはないが、実力はまったく互角だ。そのうえ直線での動力性能勝負になったら、エリーゼ勝ち目はない。

コーナーが連続する区間ではなんとか追従していけるだろうし、それなりに運転に集中していれば同等のペースをしばらく続けることも可能だろう。だが、ギアの選択でミスを犯さずにトルクの細さを完璧にカバーして走り続けたとしても、追い抜くのは不可能だ。エリーゼには視界から去っていくシロッコRを見守ることしかできない。

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