アウディはすべて似すぎ? 乗ると印象は異なる? 試乗で探る 前編

公開 : 2018.12.31 18:10  更新 : 2021.10.11 14:52

コンセンサスは目立ち過ぎないこと

メルセデスやBMWではご近所や身内で目立ち過ぎる、というひとがアウディに乗っているという話は、昔からまことしやかにいわれる。また富裕層は目立ち過ぎる車を良しとしないがゆえ、シルエットは大人しくて構わないとも。

かくしてアウディは、デザイン的にマーケットイン方向に入りやすいというか、ロイヤリティの高い「既にアウディ乗り」には分かりやすく通じやすい、控えめで先代との差異も少ない方向に落ち着くのだろう。

少し意地悪にいえば「鏡の中のアウディ・ワールド」といった風で、その世界観の外部にいるひとを、中へ誘いにくいところがある。

というわけで熟考の末、最新のA7スポーツバックやA6ではなく、唯一2019年モデルの用意があったA5スポーツバックを借り出してみた。正確には「A5スポーツバック 45 TFSIクワトロスポーツ」だ。

まずは外観。4ドアクーペ・ファストバックという異形のジャンルでありつつも、堂々としたプレゼンスに驚きつつ、A4とコンポーネンツ共有が多いとはいえ旧A7スポーツバック辺り並べても遜色ない貫禄に気づく。

シングルフレームグリルもふた回り目で、ニューモデルの体躯が旧上位モデルに近づくというロジックも、アウディを見分けづらくしている一因だろう。

とはいえその分、コクピットに座った時に感じるホスピタリティやアメニティの高さは、難しい言い方だが、実用セダン然とし過ぎず、華がある。要はA4よりも、ちょっとキラキラしている。

先ほど、鏡の中のアウディ・ワールドと述べたが、一旦その壁を越えてワールドの住人になってしまえば、独特の魅力があるのも事実なのだ。

記事に関わった人々

  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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