ロードテスト アウディQ8 ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.01.06 11:10
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
モデルに与えられた数字と異なり、アウディQ8はQ7(写真)よりひと回り小さく、全長で66mm短く、35mm低い。ミラーを含まない全幅はQ7よりも27mm広く、トレッドとホイールベースはQ7と同値となる。もしドライビング性能をQ7より活発なものにしたいと考えたのなら、ポルシェ・カイエンのように、MLBプラットフォームでもショートホイールベース版を選択しただろう。しかし、インゴルシュタットはそうしなかった。
エクステリアデザインは、Q8を堂々と目立たせることに成功している。特に正面から見た時の、強調されたラジエターグリルを構成する「シングルフレーム」の存在感が際立つ。アウディによれば、「Q」の付くモデル郡に与えられる、次世代のフロントマスクだと主張するが、売上に貢献するほど、エレガントな仕上がりだとは思えないのがわたしの感想。読者の印象はいかがだろう。
全体的なデザインのまとまりは目を引くし、明らかにアウディだとわかるもの。しかし、ラグジュアリーなQ8の魅力がひと目で伝わるだろうか。1980年台のアウディ・クワトロに通じるデザイン要素も感じられなくはないが、昨年登場したレンジ・ローバー・ヴェラールほど、目を奪われるような、魅了する力があるとは思えない。正直って、セグメントも異なるボルボXC40の方が、ビジュアル面では秀でているとすら思えてしまう。
アウディQ8で選択できるエンジンは、当面は286psを発生する3.0ℓディーゼルエンジンで、グレードは50 TDIとなる。このエンジンは、2019年中にQ7にも追加される予定となっている。電圧が48Vのマイルド・ハイブリッドシステムを採用し、スターター・ジェネレーターと大容量のバッテリーが組み合わされる。
間もなく45 TDI用として、231psを発生するV6ディーゼル・ターボエンジンと、55 TFSI用に339psを発生するV6ガソリン・ターボエンジンも追加される予定だ。後者のガソリンエンジンは、同じくQ7にも搭載されるだろう。また、遠からずRS Q8として、より強力なガソリン・ターボエンジンも登場するはず。
英国仕向のクルマの場合、スポーツ仕様のアダプティブ・エアサスペンションと21インチ・アルミホイールが標準装備となる。四輪操舵システムはQ7と同様にオプションで選択が可能。今回のテスト車両には装備されていた。SQ7に搭載される、スポーティな電子制御のディファレンシャルギアやアクティブ・アンチロールバーは、少なくとも現状ではQ8では選択できない。
アウディのエンジニアは、車高が低く素性としてより俊敏なQ8の場合、硬さを調整できるアンチロールバーは必要なかったという。どのようなドライビングを味わわせてくれるのか、次項以降のテストで明らかになるはずだ。