日本の空冷VWカルチャーの立役者FLAT4が最新デモカー ’67 タイプ-1 CAL-LOOKで示す、ビンテージVWの今
2019.01.09
オリジナル’67から正調CAL-LOOKに
このデモカーのベースとなったタイプー1は1967年式である。生産開始以来、初の大規模なマイナーチェンジが行われたのがこのモデルだ。それまで6Vであった電装系が12V化され、外観ではヘッドライトの形状が大きく変わるなどの変化があったが、過渡期のモデルとして、この1年しか採用されていないディテールを数多く持つことから、ファンからは特に “ロクナナ” と呼ばれ親しまれている。
かつては6Vルックへの改造が比較的容易なため、多くの’67が改造のベースとなった。また、入手が困難な’67オンリーのパーツもその後の補修時などに別年式のモノに交換されてしまっているケースが多いという。そんな中、この個体はFLAT4が入手した時点で、驚くべきほどに’67のオリジナル状態を維持していたという。
今や50年前のモデルである “ロクナナ” はクルマ趣味的にも充分に『クラシック』であり稀少車だ。フル純正のロールアウト状態にレストアするという選択もあっただろう。しかしながら、完成した’67 CAL-LOOKの実車を目の前にすると、そんな疑問もどこかに飛んでいってしまった。『オリジナル・ロクナナを歴史的に正しい方法でFLAT4がカリフォルニア・ルック・カーとして仕立てる』。そんな一台もあってイイ。というよりあるべきだろうと感じた。
昨年2018年は企業としてのFLAT4としても大きな動きのあった年であった。3月には創業時からFLAT4を率いてきた小森 隆氏がファウンダーに就任、代表取締役社長は同社営業部長の藤田 直人氏が受け継いだ。また以前AUTOCARの国内ニュースでご紹介した、FLAT4の保有する珠玉のビンテージVWを展示する『FLAT4 MUSEUM FLOOR』のオープンも昨年の出来事であった。さらには世界中の空冷VWオーナーたちからの要望を受けて、昨年は様々な新プロダクトも登場した一年だった。
そういった昨年の流れを理解した上で、この’67タイプー1ベースのトラディショナルなCAL-LOOKを眺めると、FLAT4がこのクルマを作り上げた意味と決意が透けて見えてくることだろう。新たなステージを迎えたFLAT4が2018年に作り上げた一台のデモカーは、日本の空冷VWの歴史に残る名車として語り伝えられていくことだろう。
なお、本ニュースで取り上げた’67 VW タイプー1 CAL-LOOKは今後、FLAT4が参加する各イベントや同社東京本社ショールームなどで展示される予定とのこと。その素晴らしい仕上がりや走りのパフォーマンスを自身の目で確かめて欲しい。