アルファ・ロメオ 後輪駆動へ回帰 「操舵の王者」奪還へ 技術詳細を解説

公開 : 2019.01.08 11:30

3 オンデマンド式四輪駆動システム「Q4」

アルファ・ロメオはマグナ・パワートレインと共同で独自のオンデマンド式四輪駆動システム「Q4」を開発した。これは英国ではステルヴィオにのみ用意される。

Q4の設計責任者アレッサンドロ・アヴァッローネは「Q4は性能を追求したシステムで、通常は後輪へすべてのトルクを伝えます。後輪駆動とおなじ感覚で運転できることはもとより、燃費にも有利です」と語る。

システムの鍵となるのは、前後にトルクを振り分ける湿式多板クラッチのアクティブ・トランスファー・ケース(ATC)だ。フロントデフは11kgと軽量小型で、システム全体でも重量は50kgに満たないという。

システムの作動を電子制御するシャシー・ドメイン・コントロールが、ヨーレート/車輪回転速度/舵角/スロットル開度を監視する。

その指示をうけるトランスファー内のクラッチは、150ms以内に最大122.4kg-mのトルクを前輪へ振り向ける能力をもつ。実際の分配量はそれこそアヴァッローネのいう「心拍数の変化なみ」に緻密に調節され、駆動力のバランスを保つ。

リアの減速比はフロントよりわずかに低く、機械的トルク配分が標準でリア優勢となるよう設定されている。

間にはさまれたクラッチの熱負荷が懸念されるところだが、アヴァッローネによると「熱対策はじゅうぶんに施しています」とのことだから、オーバーヒートなど気にせず思う存分オーバーステアを楽しめそうだ。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事