アルファ・ロメオ 後輪駆動へ回帰 「操舵の王者」奪還へ 技術詳細を解説
公開 : 2019.01.08 11:30
4 独自の「アルファ・リンク」サスペンション
主任設計者フィリッポ・エピファーニが「完全にジュリアとステルヴィオ専用です」と胸を張るシャシーは、軽量に仕上がっている。「何の制約もなく、思いのままに設計できました。まず性能を最優先にサスペンションを設計して、そのまわりに他の構成要素を付けていったというところです」
その結果、部品の45%がアルミ製となった。
フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンの1種だが、細部に特徴がある。三角形のアッパーアームはちょうど片手で反対側の肩をつかんだときの腕のような形状で、その肘にあたるところにハブキャリアとの接合部がある。
前後分割式のロアアームは、転舵時にはハサミのようにたがいに交差する軌跡をとる。エピファーニはこの変わった動きについて「キャスタートレイルを一定にたもてるため、リニアで漸進的な操舵感が得られる」と説明している。
リアはいわゆるマルチリンク式で、スパンを大きくとったアルミ製の中空ロアアームと、ストローク時のアライメント変化を最小限におさえる設計のアッパーアームで構成される。
またインテグラル・リンクの採用によって、乗り心地や後席居住性の向上につながる車体前後方向の空間設計における自由度が高まるとともに、コーナリング時のじゅうぶんな横剛性も確保できたという。
前後の重量配分をなるべく50:50に近づける配慮はリアのサブフレームにもあらわれ、ステルヴィオのアルミ製に対してより車重の軽いジュリアでは鋼鉄製とされている。