987型ポルシェ・ケイマンS 前期と後期を比較 英国編集部員が中古購入
公開 : 2019.01.14 10:40
魅力は味わえたが、空振りの目的地
日がとっぷり傾き、雨も強くなる中、今回の旅もあっという間に終りが近づいてきた。ゴールはマックルズフィールドにあるゴルフクラブの駐車場。ここをクリスマス目前のゴール地点に選んだ理由は、注目が高まる「What3words(ホワット3ワーズ)」という地図アプリにある。このアプリは任意の3m四方の地点に、みっつの単語を並べて名称を付け、その地点を共有できるもの。利便性から、ランドローバーやメルセデス・ベンツも自社のナビゲーションにこのアプリを導入し始めている。
その「What3words」上で、英国本土で最もクリスマスを祝うのに適していそうな場所を検索した結果、「tinsel.tree.star(金ピカ、樹木、星)」という単語で記された地点を見つけたのだ。そこが、このゴルフコースのどこかにあるというわけ。しかも、このゴルフクラブの総支配人、デイビット・ホルムズも、われわれと同じ987ケイマンSを所有していることも判明した。
地図を見ながら尋ねると、ホルムズは練習用グリーンにそのポイントがあることを教えてくれた。行ってみると、ただのグリーンだった。何ともつまらない冗談に左右されてしまったのだが、ここまで来たからには仕方ない。
目的地の設定は空振りに終わったが、われわれが所有しているクルマの魅力は、充分に味わうことができたと思う。平凡な日常に変化を与えるような、冒険的なドライブを楽しむことに、目的地の言い訳はいらないだろう。それに、ウェーバーはわたしより遥かにゴルフの腕も上だということが、借りたサンドウェッジ(バンカー用クラブ)の扱いでよくわかった。
それぞれの家まではかなりの距離があるが、その前に国道6号線沿いのパブでインプレッションを共有することにした。彼は6年間のケイマンSの所有で、相当な金額をクルマに投じている。中でも2300ポンド(31万円)をかけて、新しいブレーキディスクとブレーキパッド、クラッチ・プレッシャープレートの交換を同時に行ったことを振り返ると、表情を曇らせた。
しかし想定の範囲内だ。お金のかからないポルシェなど、基本的に存在しない。そのかわり、中古車としての価値は安定している。われわれの考えでは今後数年間のうちに、6気筒を積んだケイマンの価値は見直される可能性は高い。数年後のクリスマスには、987ケイマンSの中古車価格が上昇していることを期待しつつ、2018年を締めくくったのだった。
番外編「他の英国編集部員が購入したクルマ」