ベントレー・コンティネンタルGT V8
公開 : 2012.01.03 13:49 更新 : 2021.04.08 14:46
どんなクルマ?
あなたはベントレーがコンティネンタル・クーペに採用した新しいV8エンジンが、長く使われていたW12エンジンと何が違うかを知るために、わざわざ南フランスまで出向く必要はない。ちょっとばかり駐車場でシートに座ってスロットルをあおってみて欲しい。とどろきわたるサウンドと共に、最もパワフルで最速のW12エンジンとは異なる性格が、このV8モデルに与えられているということがわかるはずだ。
われわれAutocarのテスト班がシルバーストーンのまわりで試乗したクルマはプロトタイプではあったが、スペックは市販モデルとほぼ変わりないことを確認している。7.3km/lから11.5km/lに燃費が向上したことで、そのタンクに満たした燃料でロンドンからアルプスまで行くことができるようになった。2008年にベントレーはその性能を犠牲にすることなく、40%の燃費改善を図るとアナウンスしたが、その結果、登場したのがこのコンティネンタルV8である。果たして、4リッターV8は、ベントレーに相応しいパフォーマンスだけでなく、その質もベントレーらしいといえるものを提供してくれるのだろうか。
どんな感じ?
新しい4リッターV8エンジンは、丁度500bhpを発揮する。そのエンジン単体の重さは様々な付加装置が付けられているため6リッターのW12よりも25kgしか軽くないが、第一世代の6リッターW12のコンティネンタルと比べると、8速のZFのギアボックスのおかげもあって、よりトルクフルで良い加速が得られていることが判るはずだ。ベントレーがアウディからエンジンを供給されるようになってからは、特にパワーよりもトルクを重視するようになっているようだ。1700rpmで最大の67.2kg-mを発揮している。ベントレーはそのシリンダー処理によって、アウディA8に採用されたアクティブエンジンマウントとアクティブノイズシステムを不要としたが、それは5%の燃費改善に役立ったという。W12エンジンに対する燃料削減は、16%はダウンサイジングによって行われ、8%はZFの8速ギアボックスによってもたらされている。残り40%については、パワーステアリングの修正、エネルギー回生システム、低い回転抵抗を持つタイヤ、改善された車重とドラッグによるものだという。
また、最大トルクがW12と同じ1700rpmで発揮され、それが5000rpmまで維持される。もしシフトレバーをマニュアルにすれば、W12と同じようなトルクフルなドライビングフィールを味わうことができる。更に、このV8エンジンはレスポンスにも優れ、スムーズに各回転のトップまでひっぱることができる。
ベントレー・コンティネンタルGT V8は、非常にバランスのとれた良いクルマである。ベントレーは、このモデルがオーバーウェイトを感じさせないようにサスペンションセッティングを完璧に修正してきた。さすがにそれを機敏ということはできないが、正確で、落ち着いて、バランスがよいシャシーは、まさにファントゥドライブという言葉が相応しいものとなった。
「買い」か?
私がドライブした直近のベントレーは631bhpのスーパースポーツだった。それと比較しても、このV8モデルは、満足に足るベントレーの入門モデルであるということができる。このコンティネンタルV8が素晴らしい1台であるとわかるのはあなた一人ではないはずだ。その価格がW12モデルとくらべて10%程度しか安くなっかったとしても、V8は素晴らしいクルマである。ただし、ベントレーの立場からすれば、売上高の半分はW12モデルから得られなければならないようだ。アウディから高価な新しいエンジンを買わなくてはならないため、V8が良いセールスを記録すると、収益の点で問題が起きてしまうのである。
(アンドリュー・フランケル)
ベントレー・コンティネンタルV8 GT
価格 | 122,000ポンド(14,640,000円) |
最高速度 | 300km/h |
0-100km/h加速 | 4.8秒 |
燃費 | 11.5km/l |
Co2排出量 | 246g/100km |
乾燥重量 | 2,295kg |
エンジン | V型8気筒3993ccガソリン・ツインターボ |
駆動方式 | 4輪駆動 |
最高出力 | 500bhp/6000rpm |
最大トルク | 67.2kg-m/1700rpm |
ギアボックス | 8速オートマチック |