日産GT-R 2013モデル

公開 : 2013.04.27 15:04　　更新 : 2017.05.29 19:27

■どんなクルマ？

日産 GT-Rが英国でデビューして4年。それ以来、年次ごとにエンジニアリングのアップグレードが施されている。その3.8ℓV6ツインターボ・エンジンは当初の479bhpから523bhpにアップされ、更には2013年モデルでは542bhpを持つに至った。

また、そのエンジン・パワーの増加に対応して、シャシー・セットアップも、フロント・ダブル・ウィッシュボーン、リア・マルチ・リンクのサスペンションや、ビルシュタインのダンパーなどもブラッシュアップされている。

その変化はパワー・アップとそれに伴うシャシーのスープアップがメインで、スタイルの変化は小さい。

「全体的なパフォーマンスは劇的にアップした。」と日産は主張する。

ハイ・アウトプット・インジェクターはミッド・レンジおよびトップ・レンジでのレスポンス改善を目的として採用され、新しいターボ・バイパス・リリーフ・バルブは、ブースト・プレッシャーを延長させるために、そしてオイルパンのバッフルはオイルの潤滑をよりよくするために再設計された。

シャシーは、ダンパー、スプリング、フロント・アンチロールバー(主にロールセンターを低くするため)が新しくなり、フロント・カムボルトはコーナリング・スタビリティ向上のため新しくされ、ドライブシャフトのハブ・ベアリングの接合部分は、そのパフォーマンスに対処するために強化された。

その0-100km/h加速は、1000bhpオーバーのブガッティ・ヴェイロンよりも僅かに01.秒遅い2.7秒という脅威的なタイムだが、これは1速、2速のブースト・プレッシャーがより安定したことによってもたらされた結果だという。

また、全長20.832kmのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのタイムは、1.9秒も速い7分19秒18となった。2012年モデルは7分21秒であるし、初期のGT-Rは7分29秒というタイムだった。

驚くべきことは、このGT-Rが1740kgというかなりのヘビー級のボディ・ウエイトを持ち、ちゃんと4つのシートを備えたモデルであるということだ。

■どんな感じ？

一般路上では、GT-Rは直前のモデルと変化は感じられない。街中では我慢が強いられる。エグゾースト・ノートは唸り、ロード・ノイズは大きい。ダンパー・セッティングをコンフォートにセットすればどうにか耐えられる程度だ。路面の応答は少なからず共鳴するが、トップ・クラスのクオリティのその造りが影響を最小限に留める。

滑らかな高速道路では、ステアリングは一切ふらつかない。ノーコスト・オプションであるサポートの良いレカロ・シートは信じられないほど快適で、ギアボックスも気持ちよく決まる。サリーのA級国道であっても、コンフォート・モードが唯一許容範囲にあるダンパー・セッティングで、ノーマルやRモードはあまりに手に負えない固さを持っていた。

しかし、GT-Rのフラットなコーナリング・スキルは非常に楽しい。但し、より小さいサイズのクルマのようなステアリングの重さは、やや路面から孤立した感じがする。

タイト・コーナーでは若干のアンダーステアを発生する。しかし、アンダーステアが発すると、4WDのトルク配分がフロントからリアへ移行し、それを打ち消そうとするのがはっきりと感じられる。

6速のギアボックスは、オート・モードであるとキックダウンの反応が鈍いが、パドル・シフトを使用するマニュアル・モードであれば問題はない。

エンジンは、若干ミッドレンジでまだもたつく気がするが、5000rpmを越えた回転でのスロットル・レスポンスの良さは圧倒的だった。

■「買い」か？

GT-Rの価格は、デビュー以来3度改定された。しかし、それでも76,610ポンド(1,160万円)という価格はパフォーマンスと比較するとお買い得であることに間違いない。ちなみに、赤いレザー・シートは3,240ポンド(49万円)高だ。

しかし、よりスポーティなシート、アジャスタブル・サスペンション、ブレーキ・ダクト、軽量ホイールとが与えられ、リア・シートが削除れたことによって20kgの軽量化モデルであるトラック・パックの10,000ポンド(151万円)高は、若干高いような気がする。

(リチャード・ウェーバー)