試乗 レクサスRC300h マイナーチェンジ 物足りぬパフォーマンス
公開 : 2019.01.16 10:30 更新 : 2019.01.16 11:35
乗り味にも大きな変化はなし
走りの面では、ショックアブソーバーやステアリング・システムなど、シャシーセッティングが見直されているが、ダイナミクス性能を大きく引き上げたというわけではない。深く集中すれば、低速域での乗り心地は向上していることに気付く。しかし、ペースを速めた走りを楽しめるクーペというわけではない。ステアリングフィールは、不思議なことに、前輪駆動のESよりも緩慢にすら感じてしまう。
フロントタイヤのグリップ力は不足気味で、1775kgというボディ重量もあり、運動性能的には期待値には達していない。このRC300hは同じレクサスのミドルサイズサルーン、ESより重量があるほどだから、もちろんライバルとなるクーペモデルと比較しても明らかに重いのだ。
走行スピードを落とせば、快適性能は期待レベルで、優れた遮音性と滑らかな乗り心地を楽しむことはできるだろう。このクラスのオーナーなら、タイヤをきしませて走りたいと思う場面は限定的だとは思う。だが、BMWやアウディのクーペと乗り比べてみると、快適性の面でもRCの劣勢は明らかで、路面状況が悪化するほどに、その差は大きくなってしまう。
ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたパワートレイン自体には変更がなく、パンフレットに踊るようなスポーティーなキャッチコピーとは、残念ながら反する仕上がり。しかも、ひとつ前の3代目ESに搭載されていたものと同じ仕様となっている。
確かに街乗りでは、ディーゼルエンジンよりも遥かに静かで滑らかだし、クルージング時のマナーも良好ではある。だが一度、今回のスペインの試乗コースのような山道に踏み込み、スピードを高めていくと、意に反してCVTはエンジンの回転数を高めてしまい、レクサスが発する音量は一気に大きくなってしまう。