回顧録 フェラーリ3台比較試乗 進化の足跡と最新モデルの実力 後編
公開 : 2019.01.22 17:10 更新 : 2019.01.24 11:39
挙動には不自然さも
しかし、派手なエグゾーストサウンドより何より、おそらくもっとも特筆すべき興味深い事実は、エンツォがF40に比べるとやはり余分な、しかし458ほどは重くない重量を背負っている点であろう。走り出してすぐに感嘆せずにはいられないほど、エンツォのフィールは素晴らしい。
信じられないほどクイックに反応するステアリングや、それほどアクセルペダルをストロークさせずとも溢れ出る強烈極まりないパワーなどは、ある種の畏怖の念も感じさせるほどだ。
けれどほかの2台に比べると、リアクションに一瞬のもたつきが感じられるのである。458より215kgも軽いにもかかわらず、比べるとアジリティに関してはやや物足りなさがあるのは否定できず、挙動にも何か不自然なところがある。
パドル付きロボタイズドMTも、デュアルクラッチの458に比べてしまうと、たとえレースモードに設定したところで変速の遅さは隠しようがない。これならば、操作が重くても正確さに優るF40の5段マニュアルと交換したいと考える人がいても不思議ではない。