長期テスト 日産マイクラ(最終回) 優秀な小型ハッチ、だがトップには届かず
公開 : 2019.01.23 18:10 更新 : 2021.03.19 11:28
パワートレインに不満
そんなマイクラだが、パワートレインの問題だけはどうにもならなかった。シフトの引っ掛かりには悩まされ、どれだけクラッチ操作を行う必要があったとしても、3速は出来るだけ使いたくなかった。だが、それも街中の混雑した道路でマイクラの扱い辛さの原因となっていた、この3気筒エンジンの狭いパワーバンドに比べれば大した問題ではないだろう。
シフトの問題は、クラッチのスレーブシリンダーに新品のリンケージロッドとサポートブラケットを取り付けることで解消することができた。ようやくスムースな動きで積極的にシフトを楽しみたくなるマイクラの5速マニュアルギアボックスを堪能することができるようになったが、お陰で素早いシフト操作によって、このクルマの狭いパワーバンドをカバーすることも可能になった。フィエスタほどの節度感はないが、それでも十分優れたギアボックスだと言えるだろう。
だが、フィールの希薄なクラッチペダルは褒められた出来ではなかった。ミートポイントを外さないためには、常に集中してクラッチ操作を行う必要があったほどだ。
さらに、問題だったのが898ccのエンジンだ。巡航速度では洗練された印象で、粛々と追い越し可能なパワーを紡ぎ出すが、低速ではパフォーマンス不足を感じさせ、静止状態からの加速では盛大なサウンドは響かせるものの、その狭いパワーバンドが足枷となり、滑らかな速度上昇など望むべくもなかった。
さらに、ドライバーが急加速を試みても、パワーが高まったかと思うと、このエンジンはすぐにパワーバンドを外してしまうのだ。