回顧録 比較試乗 911カレラ vs GT2 RS 価格差2倍の差は?
公開 : 2019.01.23 10:40 更新 : 2019.01.24 11:39
価格差を正当化できるか
基準として持ち出したのは3.6カレラだ。しかも、ほぼベーシックな仕様の個体を用意した。つまり、ブレーキは標準のスティールディスクで、シャシーはPASMを装備しておらず、トランスミッションはマニュアルといった仕様である。GT2 RSにオプション装着された19インチホイールとスポーツエグゾーストを無視すると、この2台の911の価格差はほぼ1800万円ということになる。
そこで第3の疑問が浮上する。確かにGT2 RSの馬力荷重比はカレラのほぼ2倍にも達するが、果たしてこれほどの価格差を正当化できるほどのものなのだろうか? それを確認すべく、われわれはふたつの場所で試してみることにした。前半はソールズベリー平野の公道で感覚的な面からの評価を下し、後半はMIRAのテストコースで少しばかり科学的な調査を行う段取りである。
GT2 RSの車両重量は1370kgで、おそらく911のなかでも最軽量の部類に入るだろう。だが、実走してみると「軽快」とはほど遠い感覚だった。これは運転がむずかしいからという理由からでは決してない。たとえ6速ギアでも十分すぎるほどのグリップ感が、しかもとてもリアルに感じられるからだ。
RSは通常のGT2よりも90psもアップしているが、この増分は1.4barから1.6barに上げたターボのブースト圧によって得られている。加えて軽量化のため遮音材やガラス厚が削減されているので、エンジンの稼働状態が明瞭に耳に届くようになった。たとえば6速で100km/hからフルスロットルにするとすぐにタービンが回転を始める音が聞こえ、数秒後には200km/hに到達する。