回顧録 比較試乗 911カレラ vs GT2 RS 価格差2倍の差は?
公開 : 2019.01.23 10:40 更新 : 2019.01.24 11:39
ブレーキの耐久性にも差
自然吸気のGT3 RSとは違い、GT2 RSのターボ過給エンジンはスロットルの正確さに少々欠けていて、そのためウェット路面上では右足の踏み込み過ぎに細心の注意を払う必要があった。
視界の開けたコーナーで試したところ、テールスライドそのものは安定した姿勢で推移するのはわかったが、それに伴って一瞬のトラクション喪失が発生するのは避けられない。その心配の少ないドライ路面ならラップタイムははるかに大きな差となっただろうが、今日のこのタイトでスリッパリーなサーキットでは、GT2 RSの走りは少々パンチが効き過ぎていたようだ。
MIRAではもうひとつ、大きな違いが判明した。標準のブレーキとカーボンセラミック製のそれとの差だ。絶対的なストッピングパワーに決定的な差があるわけではないのだが(それでも後者のほうが短距離で止まれるのは間違いない)、耐久性に圧倒的な開きがある。
サーキットでラップを重ねていったところ、カレラのブレーキはわずか5周目で音を上げてしまったが、GT2 RSのそれは同じラップ数でもわずかにフェードの兆候が感じ取れただけで、まだ7割ほどの余裕は残っていた。
それではこのGT2 RSは、ひとつの製品として総合的にはどう判定すべきだろうか? 確かに極限の条件ではカレラよりも刺激にあふれる走りを味わえるのは間違いないものの、公道上で走るのなら、ほとんどの時間において、価格差に完全に比例するほど深い満足が得られると結論付けるのは不可能だろう。