ロードテスト BMW X5 ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.01.27 12:10 更新 : 2019.01.31 06:05
乗り味 ★★★★★★★★☆☆
BMWは大型サルーンにおいて、シャープな方向転換のレスポンスとコーナリングバランスと、磨かれた円熟のパッケージとをみごとに組み合わせた。この第4世代のX5は、このコンビネーションを、サルーンのそれと同じくらい素晴らしく成し遂げた。先代モデルのように抜群のボディコントロールとロードホールディングでライバルすべてを圧倒することはないが、ステアリングは穏やかに安定し心地よい。
アダプティブサスペンションをコンフォートにセットすると、10年前のX5には期待もしなかった、クッションの利いた走りを見せる。ペースを上げ、アンジュレーションのある路面に差し掛かると、足回りは淀みなく入力を受けるが、ボディは一貫して張り詰めたフィールを求めるドライバーが好むそれより大きいリバウンドを示す。
しかし、優れたキャビンの洗練性は、ランフラットタイヤのサイドウォールが暴れるほど荒れた路面では乱されるが、そこまでの状況には滅多に遭遇しない。それを考慮すれば、一国を縦断するような長距離ドライブでも不安は限りなく小さい。走りの洗練性の点からすれば、サスペンションがソフトなセットアップだと、市街地レベルの速度域で、頭を振られるような抑えの利いていないボディの動きをすることがあるのがやや残念。それは、このクルマにはふさわしくない挙動だ。また、Mスポーツ仕様のテスト車が21インチのアルミホイールを履いていることを、ときおり鋭い突起を踏むと思い知らされる。
より速度域が高く流れのいい道では、このX5は真価を発揮し、期待通りの走りを見せる。コンフォートからスポーツへモードを切り替えると、サスペンションは20mmダウンし、とりわけタイトなコーナーで、その軽くない車重をより巧みに抑え込む。適度に手応えが増し、ますます遊びのなくなるステアリングとともに、十分なグリップとトラクションも自身を高めてくれる。運動性の鋭さは、より走り重視のドライバーへアピールするには必要すぎるほどだ。
アダプティブモードは、日常遣いにおける、コンフォートとスポーツの折衷案としてはパーフェクトであるべきだが、まったくそうではない。テスターたちはスポーツ・インディヴィデュアルを選び、ステアリングやエンジン、トランスミッションやサスペンションそれぞれを、好みに合わせて調整しがちだった。そうではあっても、これが運動性能もハンドリングも思った以上に優れた高級SUVであることを見出して、ほとんどが満足する結果となった。