回顧録 1000万円で手に入る高性能車対決 GT-R vs ガヤルド
公開 : 2019.01.24 10:50 更新 : 2019.01.24 11:36
全く異なる性格
ガヤルドを操縦しているときに感じられるフィールとレスポンスは、これまでのドライビング経験に照らし合わせて咀嚼できるもので、減速してコーナーに進入したとき、四輪それぞれがグリップしていればアクセルを踏めばいいし、どこか1輪でもグリップが抜けそうであればいま一瞬待つべきだと判断できる。まことにシンプルで分かりやすいドライビングメソッドだ。
かたやGT-Rだと、前を走るガヤルドと同じスピードでコーナーに進入した場合に、難なく曲がり切れるものなのか、それともコースアウトしてしまうのかが始めのうちはまったく分からない。
けれどしばらくしてクルマに対する信頼が芽生えてくると、ガヤルドでは危険すぎて試す気にもならないスピードでコーナーに突っ込んで、平然と減速し、ステアリングを切って、アクセルを踏んでコーナーを抜けている自分に気付かされるのだ。
ガヤルドとGT-R、カタログ上似通った数値を持つこの二台をそれぞれかけ離れた存在たらしめているのは、この点なのである。人車一体感か物理的スピードか、どちらに重きをおくのかは選者がどんな運転を好むかに完全に委ねられている。
それゆえこれほど頭を悩ませる二択はないのであるが、いえることはどちらも1000万円を費やして所有するに値する素晴らしいクルマであるということだ。ただその理由がまったく異なるのが問題なのである。