回顧録 1シリーズMクーペ vs ケイマンR 全く異なるキャラクター

公開 : 2019.01.26 07:10

トルクが魅力の1M

しかし問題は、1MクーペからケイマンRに乗り換えた瞬間に、よりエキゾティックなマシンのシートに座っているという明らかな感覚に包まれることだ。ケイマンのインテリアは純粋主義デザインの決定版とまでは言えないかもしれないが、このRに限れば、装備の少なさはあきれるばかり。エアコンもオーディオも標準では付いてこない。

「レス・イズ・モア」のデザイン思想も、ここまで極端だと馬鹿げた感じだ。しかし同時に「ポルシェだ」という雰囲気は十分で、それゆえ1Mクーペのインテリアがいささか地味に思えてしまう。ケイマンには本物を感じるのに対し、1Mクーペは装備が多いにもかかわらず質素な匂いが漂うのだ。

そして、真っ向対決で2台の比較試乗をスタートすれば、BMWの魅力が声高に蘇ってくる。まず何より、1Mクーペは速い。もちろんケイマンRが遅かろうはずもないのだが、最大の違いは低中速域でのトルクだ。

ケイマンの場合、5000rpm以上にどれだけ素早く持ち込めるかがすべて。それ以下の回転域では正直に言って、このフラット6は活気に欠ける。対する1Mクーペは、ほとんどどんな回転域でも、どのギアを選んでいようとも、アクセルを踏み込めば猛然と加速。3000rpmから6000rpmまでの広い範囲で、ケイマンRを圧倒する。

試しに3速/1500rpmからの全開加速をサイド・バイ・サイドで比べたところ、1Mクーペが7000rpmでリミッター作動となった瞬間、ケイマンRに70~80mの差をつけていた。4速で、5速で、さらに6速でも同じ比較を行ったが、両車の差は広がるばかりだ。

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