回顧録 ミドル級ミドシップ対決 ケイマンR vs エヴォーラS 前編
公開 : 2019.01.28 11:50
確かな軽量化の効果
それでは核心に迫ろう。1340kgになったケイマンRの50kg分の減量効果は? これはガソリンにしてほぼ満タン分の違いでしかない。しかし、ケイマンSとRを交互に乗り比べてみると、10psほどの強化や改善されたであろうエンジンの反応のよさのせいもあって、確かに違いは感じられるはずだ。
走りは一段と機敏になっている。速さはもちろん疑いようがない。0-100km/h加速の公称タイムで5.0秒であり、そしてポルシェの公称値がたいてい控え目に申告されているのは有名な事実だ。
何よりケイマンRのエンジンはフィールがいい。3.4ℓのフラット6はサウンドも抜けもよくスムーズである。テスト車のギアボックスは6速マニュアルだったが、ストロークが短くて操作感が最高だ。キレがよくてタイトかつ確実なシフトは、それ自体が楽しくなるほどではないかもしれないが、正確さについては申し分なく、ミスシフトはまず起こらないだろう。
エヴォーラSで何よりも残念だったのがそこだ。凄まじく速いだけに惜しまれる。本誌のロードテストでの計測による、ほぼ満タンの2名乗車による0-97km/h加速のタイムは4.36秒だから、トラクションやエンジンのレスポンス、それに絶対的な出力にはなんの問題もない。問題なのはこの出来の悪いトランスミッションなのだ。