回顧録 ポルシェ911ターボ vs ノーブルM600 価格差2倍の実力は?
公開 : 2019.01.29 11:45
自然なフィーリング
ギアボックスは確かに昔ながらの6段マニュアルではあるが、この種のものとしては操作が軽くてストロークが短く、非常に扱いやすい。クラッチも同等で、これだけの莫大な出力とトルクを伝達するものとして予想する重さの、せいぜい6分の1程度にしか感じられない。
スロットルの操作性も信じられないほどよく躾けられていて、ごく軽く踏んでもハーフでもフルでも、さらにその中間であっても、まったく自然で違和感がない。このあたりは小規模なメーカーが往々にして失敗しやすいところで、これほど速いクルマだと特に危うい箇所なのだが、ノーブルにそんなミスはなかったようだ。
911ターボに乗り換えると、そのフィールは当たり前ながらM600とはまったく異なっていた。正直なところ、なぜこれを比較対象に選んだのか、自分でも疑問に思えたほどだ。ドライビングポジションは伝統的なアップライト姿勢で、低くうずくまるM600から乗り換えると、まるで普通のハッチバックに乗り込んだようだ。
キャビンはほかに思い当たらない種類の、完璧無比の品質と不思議なほど素っ気ないスタイリングの組み合わせである。M600のジェット戦闘機のようなキャビンの隣では、逆にこの普通さが奇妙な個性にも感じられた。