試乗 トヨタ・ヤリス・ハイブリッドGRスポーツ 硬い脚にパワー不足
公開 : 2019.02.04 10:10 更新 : 2021.03.05 18:46
標準のフィエスタの方が楽しい
ヤリスGRスポーツへ実際に搭載されるのは、99psを発生させる1.5ℓのガソリンエンジンにハイブリッドが組み合わされたパワートレインで、すべてのパワーはCVTを介して前輪へと送られる。このパワートレインに関しては、0-100km/h加速に要する時間が11.8秒だということが、すべてを物語っている。不満のない加速を得るには、かなり深くスロットルを踏み込む必要があるが、CVTが不用意に4気筒エンジンの回転数を高く保つため、ざらついた印象は拭えない。
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メリットとしては、距離が限られるとはいえ電気モーターだけでの走行も可能で、都市部などでも良好な実燃費が得られること。わたしが積極的に郊外の道を飛ばした後でさえ、ヤリスのオンボードコンピュータに表示される平均燃費は15.5km/ℓとなっていた。もし読者がジェントルに走行すれば、われわれを大きく超える好燃費を出すことも可能だろう。
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しかし全体の印象は、楽しみを欠いたパワートレインだといわざるを得ない。あくまでも経済的に都市部を走行するためのクルマで、アクセルを思いっきり踏んで、郊外の道を飛ばして走る使い方は似合わない。お財布に優しいドライブができるとしても、レッドゾーンまで目一杯エンジンを回転させて、エンスージャストが満足できるような走りを提供してくれるクルマではない。
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正直いって、至って標準的なエコブーストエンジンを搭載したフォード・フィエスタの方が、ヤリスGRスポーツよりも楽しいとさえ思えてしまう。
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