メルセデス・ベンツSLS AMG GT
公開 : 2013.04.30 19:04 更新 : 2017.05.23 16:45
■どんなクルマ?
まず最初に悪い知らせだ。過去3年間、われわれが愛して止まなかったメルセデス・ベンツSLSは既にカタログにない。そして良い知らせ。その代わり、3つの新しいSLSがニューモデルとしてラインナップされることになった。GT、ブラック・シリーズ、そしてエレクトリック・ドライブだ。更に、GTにはガルウイング・ドアを持つクーペとロードスターが用意されるので、合計4つのモデルとカウントしたほうが良いのだろうか。
このSLS GTは、従来のスタンダードなSLSに代わるモデルだ。この新しいスタンダード・モデルは、従来のSLSよりも20bhpパワー・アップした583bhpを発揮するV8エンジンを搭載する。また、シャープなハンドリングを得るために見直されたサスペンションと、シフト・レスポンスを向上させたデュアル・クラッチ・ギアボックスが与えられた。それでいてその価格は、3,000ポンド(45万円)ほど安くなったのだ。
SLSのルックスは、ダーク・ガラスが用いられたヘッドランプ以外旧いSLSとほとんど変わりない。但し、ベントレーのようなキルティング・レザーがオプションとして用意されるようになった。
■どんな感じ?
SLS GTは0-100km/h加速がSLSに対して0.1秒早くなった3.7秒となり、トップ・スピードも320km/hまで上がった。ピーク・トルクの数値はSLSと変わりない66.2kg-mという値だ。実際のところ、20bhpパワー・アップしたことを体感することは難しい。しかし、それはさして重要なことでもないのだ。
6.2ℓのV8は、相変わらずスリルに富んだ強力なパフォーマンスを見せてくれる。そしてそのサウンドトラックも魅力的だ。修正されたデュアル・クラッチ・ギアボックスはライバル達と比較すると最高とまでは評価することはできないし、アグレッシブなスロットル・レスポンスは低速域では無駄にギクシャクすることもある。しかし、パワートレーンの持つ魅力を決して損なうものではない。
またリファインされたセスペンション・セッティングは、一般道でより明快になった。ダンピングはスポーツとスポーツ+の2つが選択可能だが、スプリングとダンパーは以前のSLSよりも固くなっている。結果から言えば、以前よりもバランスが保たれ、しかも軽い感じがする。通常の一般道での使用では(少なくともスポーツ・モードでは)非常に素直だ。
グリップは予想以上に強力で、コーナリング・パフォーマンスは強大だが、一転してリラックスしたドライブにも対応できる足回りだ。
■「買い」か?
価格の引き下げによって、フェラーリやマクラーレンといったミド・エンジン・モデルに対してよりバリューを持つものとなった。客観的に見れば、魅力的な面でフェラーリ458に及ばない点もあるかもしれない。しかし、ガルウイング・ドアを持つマッスルカーの魅力は非常に捨てがたい。
(アラン・ミュアー)
メルセデス・ベンツSLS AMG GT
価格 | 160,030ポンド(2,425万円) |
最高速度 | 320km/h |
0-100km/h加速 | 3.7秒 |
燃費 | 7.6km/ℓ |
CO2排出量 | 308g/km |
乾燥重量 | 1695kg |
エンジン | V型8気筒6208cc |
最高出力 | 583bhp/6800rpm |
最大トルク | 66.2kg-m/4750rpm |
ギアボックス | 7速デュアル・クラッチ |