ロードテスト BMW 8シリーズ・クーペ ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.02.03 17:40 更新 : 2019.02.05 17:56
およそ20年ぶりに復活したBMWの最高峰ビッグクーペ、8シリーズ。このクラスに珍しいディーゼルエンジンは、グランドツーリングにぴったりのキャラクターを見せてくれました。しかし、このセグメントのメカニズムに大事なのは理性よりも個性。その点は、Mスポーツ仕様のルックスでもカバーしきれませんでした。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術
ー内装
ー走り
ー使い勝手
ー乗り味
ー購入と維持
ースペック
ー結論
はじめに
E31こと初代8シリーズの登場から30年近く、そして、その退役から20年近い年月が経とうとしている。そんな今、BMWはビッグGTクーペ市場に復帰した。エレガントで、大陸横断のような長距離ドライブにも堪えうる2ドアのフラッグシップ、2代目8シリーズの誕生だ。
ミュンヘンは、ラインナップのより大きく豪華な上級モデルを拡充することで、上位レベルの高級車メーカーの中における存在感を強める戦略を打ち出している。そのカギとなるのが新型8シリーズで、この2ドア・クーペであるG15に続き、コンバーティブルのG14と4ドアのG16グランクーペが設定される計画だ。E31が1999年に生産終了して以来、2世代にわたって6シリーズが守ってきたポジションを、今度は逆に引き継ぐというわけだ。
姿を消して久しい先代モデルとは、車名以上の関連性は見出せない。ただし、GTクーペの顧客の多くは、リトラクタブルヘッドライトを備え、先進技術をいち早く採用したイメージの強いE31の現役時代をまだまだ記憶している世代だろう。BMWがコンピューターによるデザインを採用した最初の世代に数えられる初代8シリーズは、バイワイヤのスロットルやリアのマルチリンクサスペンションの導入例としても最初期に当たる。
このG15が技術的な斬新さや洗練性でそれなりの水準を達成しているだろうことは、当然ながら期待されるところだ。事実、四輪駆動や四輪操舵、アクティブスタビライザー、そしてBMWの最新バージョンであるインフォテイメントや運転補助テクノロジーなど、期待を裏切らない内容となっている。
英国でのモデル設定は今のところ、530psのガソリンV8ツインターボと、319psのディーゼル直6ツインターボだが、どちらも0-100km/hの公称値は5秒を切る。その実力は、ロードテストの物差しに照らせばいかなるものであるか、検証していこう。