IペースとEペースが生まれる場所 マグナ・シュタイアの工場訪問
公開 : 2019.02.16 07:50
いよいよ生産ラインへ
グラーツ工場が得意としているのはプレミアムな少量生産モデルだが、その事務的とも言える雰囲気と従業員の様子から、この場所には虚飾などまったく無縁だということがすぐに見て取れた。われわれは今日1日の拠点として殺風景なミーティングルームへと招き入れられたが、そこから延びる廊下にはさらにいくつもの同じような部屋が続いているのが見えた。
JLRで重要な役割を担っているふたり、EペースとIペースのチーフプログラムエンジニアを務めるグラハム・ウィルキンスと、製造プログラム責任者のグレゴール・マクラクランが入ってくると、この部屋の雰囲気も一気に華やいだものとなったが、彼らがこのプロジェクトに集中するとともに、マグナ側で立上げ責任者を務めるロバート・ヒュウマー率いるチームを完全に信頼していることは明白だった。
グラーツで生まれ育ったにもかかわらず、われわれよりも見事な英語を話すヒュウマーは、生産を立ち上げる際には不可避とも言えるさまざまな課題を解決するために集まった経験豊富なエンジニアのひとりだが、そうした立上げ初期の問題というのは、少なくとも製造工程においては過去のものになったと集まったエンジニアたちは強調する。
Iペースではバッテリー調達が課題だと話すものもいたが、それはマグナのせいではなく、彼らの仕事はバッテリーを搭載することにある。つまり、マグナでの生産は順調ということだ。
マグナとジャガーのパートナーシップは5年前のプレ-コンセプトミーティングにまで遡り、車両生産をマグナが担当すると決まった4年ほど前からは、ミーティングも定例化していた。ウィルキンスとマクラクラン、そしてヒュウマーによれば、ミーティングはスムーズで実り多いものだったという。
安全シューズに履き替えて、車両に傷をつけないため時計とベルトのバックルにカバーをすると、ロボットがIペースのプレス成型されたアルミニウム製ボディパネルの組付けを行っている、ホール71と呼ばれる新設ラインへと案内された。
ボディの組付けは87台のロボットによって行われ、1台あたり2600ものリベットを84基のリベットガンで溶接するとともに、177m分の接着を行っている。1台のボディを組み立てるのに必要な時間は500秒であり、ホール71では1時間あたり、およそ6台のボディを生産している。