回顧録 Dセグ対決 BMW 3シリーズ vs メルセデスCクラス 後編
公開 : 2019.02.16 16:50
ステアリングも良好
ダンピングは初期設定のコンフォートのままにしていたのだが、その状態でも、かなり大きい割れ目やバンプを乗り越えても乗り心地は見事に制御されていた。決して進路を乱されたり接地感を失ったりはぜず、通過後にはピタリと収束する。
ステアリングも良好である。ポルシェと同様、ラックのギア比が切り込むほどクイックになっていくシステムだが、その動作に違和感を覚えたりはしない。中立付近では自然な安定感があり、そして切れ角に応じてただ自然にゲインが増していくだけだ。
ロックトゥロックが3回転もあるのだからギア比は大きく変化しているはずなのだが、それを意識させない仕上がりである。手応えはやや軽めなほうながら感触はじつによく、なめらかで正確だ。コーナーで荷重がかかっても路面の細かい荒れがリムを通じて伝わってきたりはせず、きれいに整えられている。
コーナリングでの挙動にも満足できる。ロールもそのレートも上手に抑えられていた。足まわりに素早さが感じられ、旧型でいえばMスポーツ車と同じような安定した姿勢で駆け抜ける。それでいて、旧型Mスポーツに標準装備されていたシャシーのハーシュネスは、完全に除去されているのだ。
走り甲斐があって運転そのものを楽しめて、しかも乗り心地は快適な、いうなればフォード・フィエスタ・ゼテックSと同種の血統のクルマだ。コーナリング能力と高品質の乗り心地がどこまで両立可能なのかを見せつけてくれる。