回顧録 ミニマム級シティカー対決 VWアップ vs トヨタiQ 前編
公開 : 2019.02.08 12:00 更新 : 2021.01.28 16:55
新開発のパワートレイン
EA211型999cc12バルブのこのユニットは、なんと重量がわずか69kgしかない。アルミ製シリンダーヘッドは吸気マニフォールドまで一体となっており、これによってエンジンが動作温度まで暖まる時間を大幅に短縮できている。
クランクシャフトやコンロッド、ピストンなどが徹底して軽量化されたこともあり、通常なら3気筒に付きもののバランサーシャフトが、このエンジンには存在しない。また、内部摩擦を徹底的に減らすためにメインとコンロッドのベアリングも小型化され、メインベアリングの負荷を減らすために、クランクシャフトには6個のカウンターウェイトが取りつけられている。
カムシャフトはコグドベルト駆動されるが、ベルトがかけられるドライブホイールは真円から少しだけ扁平した形状にされた。エンジンを破損させる要因となる「ピーク応力」が、それによってスムーズにならせるからだそうだ。吸気側のカムには可変タイミング機構も備わっている。
さらにアップには、新開発されたMQ100と呼ばれる5段MTが搭載されており、これを収納するアルミ製ケーシングの重量はわずか3kgしかない。わずか34cmの奥行きにも驚かされるが、総重量はたったの25kgであり、しかもこの数値には1ℓのトランスミッションフルードも含まれているのだから驚愕するしかない。自動変速MTのSQ100もオプション選択可能だが、こちらはクラッチの制御機構が加えられて30kgだ。過去最軽量のオートマティックトランスミッションだというVWの主張にもうなずける軽さである。