回顧録 ミニマム級シティカー対決 VWアップ vs トヨタiQ 後編

公開 : 2019.02.08 17:10  更新 : 2021.01.28 16:55

スマートな実用性の塊

今回、iQは多くの人が予想しているよりもはるかに優れたクルマであると判明したわけだが、それは子供を考えずに済む人の純然たるセカンドカーとして見た場合であり、シャープでスマートな実用性の塊であるVWとはまったく別の、ある種贅沢な選択肢である。

邦貨換算した英国価格が約205万円にもなる今回の1.3ℓ+CVTのiQは、ピッチングが気になる乗り心地を別にすれば、このクラスとは思えないリムジンのような高級感を積極的に評価できるクルマだった。

以上の検分を踏まえたうえで、われわれの結論はこうだ。iQと同等の価格でアップが販売される英国はもちろん、iQが安価で手に入る日本でも、読者諸氏が自宅に置きたくなるのはおそらくアップのほうではないだろうか。

それはひと目でわかる個性的なルックスと、徹底したエンジニアリング主導の造りがあるからだ。アップル流のやり方で造られたこの製品は、所有すること自体に満足感を見出すことができる。それに対してiQのほうは、あまりにもニッチに過ぎる。

トヨタはトリックのやり方を少々誤ったように思う。もう少しだけストレッチして本物の4人乗りに仕立てたなら、オーリスなどよりはるかにプレミアム感のあるクルマに仕上がったはずだからだ。そうすれば、ゴルフをも相手にできる価格競争力を持つ製品となり得たかもしれない。

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