回顧録 スモールクーペ対決 ミニ・クーペJCWとライバルたち 前編
公開 : 2019.02.09 17:50
希少種となったスモールクーペの新たなる選択肢として登場したミニの最新作は真のドライバーズカーなのでしょうか。定評あるアウディTTやVWシロッコ、そしてこのクラスのスタンダードであるマツダ・ロードスターと比較しました。
もくじ
ー コンパクトスポーツを比較
ー TTやロードスターも参戦
ー 主役はミニ・クーペJCW
ー 剛性の高いボディ
ー TTやシロッコの際立つ乗り心地
コンパクトスポーツを比較
(AUTOCAR JAPAN誌105号の再録)
自動車業界の基準でいう「そこそこの価格」でクーペを買おうとすると選択肢が限られてしまう、という時代が最近まで続いてきた。たとえばフォード・ピューマやトヨタ・セリカといったクーペはそこに当てはまっていたが、もう消え去ってしまった。
BMWの1シリーズは欧州なら約300万円、日本でも395万円からの価格でまだ生き残っているが、しばしば売れ残ることがあった。結果、多くのメーカーは、生産台数の少ないコンパクトなスポーツカーで利益を上げるのはむずかしいと悟ってしまい、クーペよりホットハッチがより安全な投資対象になったのである。
しかし、現在の状況は明らかに、そして幸いなことに、まったく違っている。そんなうれしい一例がシロッコだ。VWはゴルフ/イオスのコンポーネンツを注意深く活用し、ポルトガル工場の空いていた生産ラインを使って、スモールクーペの市場に参入してきた。
日本仕様なら160psのTSIが350万円、今回のテスト車である2.0ℓTSIを積むGTグレードでも邦貨換算で約400万円だ。これがよくできたクルマなのはわかっていたから、ほぼ同等なコンセプトで造られたプジョーRCZはテストに加える必要はないと考えた。