王者は譲らず　それでも価値ある戦い

それでも、ペースを上げれば、Eペースも見事な走りを見せる。金属バネと素晴らしいチューニングを受けたアダプティブダンパーの組み合わせが見せる引き締まったボディコントロールのお陰で、素晴らしい英国の道を夢中で走り廻ることになる。路面の状況を直接的に伝えつつ、しなやかに吸収するこのサスペンションセッティングは熟練のスペシャリストの手によるものに違いない。このクルマはSUVとしては異例とも言えるほど路面を近くに感じさせ、流れるようにアスファルトの上を進んでいく。

マカンの走りも十分に流れるようであり、それはペースを上げるほどに感じられる。エアサスペンションに荷重を掛けつつ、ステアリング操作に正確に応えるこのクルマは、SUVだということを感じさせないほどだ。B級路を猛然と進むマカンは、SUVというよりも、優れたハンドリングを備えた、四輪駆動のホットハッチのようであり、見事なバランスとダイレクトさ、そして本能的で確かなフットワークを見せる。

テスト車両が採用していたたオプションのエアサスペンションは、それなりの速度ではEペースほどの落ち着きは見せてくれないが、その代わり、大きな入力に対しては、やや浮遊するような感覚を味わわせてくれる。

他の典型的なSUVに対して、Eペースがその優れたダンパーセッティングで優位に立つ一方、マカンはドライバーズカーとしてより高い完成度を見せている。より機敏で、全方位で魅力に溢れたモデルであり、実際、サスペンションをローモードにすると、マカンはまるで現代の技術を使って復活させたスバル・インプレッサターボ・ワゴンを彷彿とさせる。常に速く走らせたくなるモデルであり、どれだけ速く走ることができるかをドライバーに訴えてくる。こんなSUVは他には存在しないだろう。

では、Eペースにはそんな力は備わっていないのだろうか？　残念ながらそうかもしれない。だが、それも、マカンのライバルとして認められていることに比べれば、大した驚きではない。

今回の対決で勝利したのはマカンだったが、その差はわずかであり、ポルシェはすでにわれわれが知っている、おどろくべきハンドリングを持つSUVという実力を発揮したに過ぎない。

一方のEペースは、少なくともトップモデルであれば、これまでわれわれが知らなかったような、いかなるジャガーでも称賛に値する、特徴的な動力性能を備えていることを証明した。それこそが、より大きな勝利かも知れない。

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