トヨタGT86
公開 : 2012.03.27 16:08 更新 : 2021.01.28 18:11
■どんなクルマ?
おそらく何よりもトヨタGT86が素晴らしいのは、エンスージァストが重要と考えるものが何かということを明らかにしたことだ。でなければ、トヨタがこの煌くようなクルマを作り出すことはなかったことだろう。
このプロジェクトが2007年に議論の話題となった時、そのほとんどが反対意見を述べたという。しかし、トヨタはすぐに、このクルマを若い顧客にアピールするクルマとすることを決定した。そして、GT86はそのルネッサンスの先鋒として開発が行われた。
その結果が今、われわれの目の前にある。
われわれは既に2回ほど、プロトタイプの形ではあるがGT86をドライブしている。そして、そこには限りない可能性があると断言した。そして、6月の英国での発売の前に、完全なプロダクション・モデルとしてGT86をドライブする機会に恵まれた。
あなたが、このGT86がトヨタとスバルとの合弁事業から出来上がったクルマであり、そのエンジン・フードの下には197bhp、20.9kg-mのパワー、トルクを持つ2.0リッターのボクサー・エンジンが搭載されると知っているなら、かなりのエンスージァストだ。であれば、このクルマが後輪駆動であるということも知っているはずだ。
トランスミッションは6速のマニュアルか、セミ・オートマチック・ギアボックスが組み合わされ、車重は僅かに1220kgしかない。
■どんな感じ?
このGT86が病みつきになるほどの体験を与えることに完全に成功しているかどうかを、あなたはまだ実感できないと思う。結局、GT86をドライブしてもらう以外、その方法なないのかもしれない。ステアリングがどれほど甘美なのか、限界付近でのシャシー・バランスはどうなのか、ブレーキのレスポンスは良いのか、進行方向を変えた時の反応はどのぐらい鋭いのか、など
GT86のレスポンスは、どんな形であれ、危険であったり攻撃的なものではない。事実は正反対で、そのフィーリングはクルマに乗った瞬間にわかるはずだ。キャビンは、すべてがドライバーのためにあることがすぐに理解できる。シート、ホイール、計器類、ペダル、ギアレバーはすべてが近くにあり、パーフェクトなレイアウトだ。そして、それが如何にアットホームであるかを理解するのには多くの時間はいらない。
ボタンを押してエンジンを始動する。するとボクサー・エンジンの独特な単調なサウンドがドライバーを包み込む。そしてそれはスロットルを踏んだだけ正確に美しく反応する。そのサウンドは、固すぎもせず、柔らかすぎもしない。
30km/hそこそこで走ったとしても、ステアリングの心地よさが解るはずだ。
あなたがスロットルをフルに踏んだ時に、加速がそれほどショッキングでないということに最初の驚きを覚えるはずだ。トヨタは0-100km/h加速7.7秒と最高速度220km/hというかなり穏やかなスペックをGT86に与えていないのだから。
しかし、そのことがあまり重要でないということを理解した時に、思いがけない2度目の驚きがやっていくる。コーナーに差し掛かり、シャシーが動き出した途端、トヨタが最も重要視したかったものがわかるからだ。そして、過去10年間で最も大切なクルマの1台であるとさえ思い始めさえするはずだ。
GT86はシンプルだが偉大なクルマであり、もし状況が許すのであればドライバーがクルマを振り回してみることを奨励するような素晴らしいシャシー・レベルを持っていることだ。
■「買い」か?
GT86にはその価格以上の何かがある。ある意味においては、大方のエンスージァストにとって、これからのクルマの方向性の一つを示したとも言えよう。
そして、6月に発売される英国国内での価格が24,995ポンド(330万円)というのも嬉しいニュースだ。
疑いはない。GT86はトヨタにとっても画期的なクルマなのだ。望むなら、あと1、2のメーカーがGT86のあとを追従して欲しい。
(スティーブ・サトクリフ)
トヨタGT86
価格 | 24,995ポンド(330万円) |
最高速度 | 220km/h |
0-100km/h加速 | 7.7秒 |
燃費 | 14.5km/l |
Co2排出量 | 160g/km |
乾燥重量 | 1220kg |
エンジン | 水平対向4気筒1998cc |
最高出力 | 197bhp/7000rpm |
最大トルク | 20.9kg-m/6600rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |