新技術ことはじめ 真のパイオニア vs 世間が考えるパイオニア 目指すは名誉回復

公開 : 2019.03.03 16:50  更新 : 2021.03.05 21:42

前輪駆動モデル

小型モデルの基本形を形づくったミニに先立つこと25年、シトロエン・トラクシオン・アヴァンが前輪駆動モデルとして登場したことは多くが知るところであり、このクルマこそが世間の考えるパイオニアだと言うかも知れない。

だが、いずれにせよどちらも前輪駆動モデル第1号ではなく、その称号はアルヴィスのものだ。1920年代、アルヴィスはさまざまなデザインとサイズの高品質なスポーツカーを創り出すメーカーとして知られた存在だったが、1928年、彼らは誰もが予想しなかったことをやってみせた。20世紀に入ると、多くのメーカーが全輪駆動モデルの実現に取り組んでいたが、アルヴィスは量産を始めたのだ。

公道スポーツカーと競技モデルの両方を目指し、スーパーチャージャーの有無を選択できた前輪駆動のアルヴィスは、英国自動車史ではほとんど忘れ去られた存在となっている。だが、90年前の当時は驚くべき速さを誇るモデルであり、1928年のル・マンで6位に入ったこの小さなアルヴィスのことを、どれだけのひとが覚えているだろう。わずか1.5ℓのエンジンを積んだこのアルヴィスを打ち破ることができたのは、4ℓ以上のエンジンを積んだモデルだけだった。

前輪駆動のアルヴィスは150台ほどが生産されるに留まり、現在では非常に希少なモデルとなっている。

真のパイオニア

1928年:アルヴィス「フロントホイールドライブ」

世間が考えるパイオニア

1959年:ミニ

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