長期テスト アウディTT RS(5) 賛否両論分かれるクルマ
公開 : 2019.02.14 12:00
積算12291km 賛否両論のTT RS
TT RSは次第に、Autocar編集部内で物議を醸すようになった。通常の観点からすると人気モデルであるのは疑いようもない。なにしろ有り余るパワーと名声を持っているのだ。しかし、最近よく見かけるようになったのも事実で、目を引く存在でなくなったのも確かだ。
長期レポートは、クルマを新鮮な目でとらえ、コメントを得るのに非常に良い機会だ。しかし、TT RSに関しては疑わしく思ってしまった。というのも、信頼できる自動車愛好家の間ですら意見が分かれてしまいがちだからだ。
まず、TTを嫌うモノが一定数いる。アウディはほかのプレミアムブランド以上に、筋金入りのアウディ嫌いを作りがちだ。よく非難されるのが、非常に速いクルマを作るにもかかわらず、明らかに俊敏さに欠ける点だろう。
この点については否定できないところがある。例えばステアリングは饒舌とは言いがたい。コンフォートモードではスロットルレスポンスは至極ソフトだ。ブレーキはときおり、きしむような音を立てる。スイッチを切ったあとに流れる、心臓の鼓動のような音も気に入らない。
一方で、このような批判は優れた部分があればこそでもある。例えばサウンドはなかなかのものだ。3000rpmを超えると活気にあふれてくる。インテリアも素晴らしく、モデルの真剣度を考えれば乗り心地も悪くない。
だが彼らからすれば、駐車場で目立ち、心が満たされなければ、琴線に触れることはない。TT RSはここ一番で魅力的な存在になれないのだろう。これではクーペとしての役割を果たせていない。