ロードテスト レクサスES ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2019.02.17 09:50
日本発のプレミアムブランドが挑んだ、ドイツ車の牙城である高級セダン市場への道場破りですが、ドライバーズセダンから快適性と経済性にフォーカスしたレクサスの戦略は、ドイツ勢との真っ向勝負を避けたかたち。オートカー的には、刺さるクルマではありませんでした。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術
ー内装
ー走り
ー使い勝手
ー乗り味
ー購入と維持
ースペック
ー結論
はじめに
もし、もっとも揺るぎない老舗ブランドの縄張りに踏み込もうとする自動車メーカーなら、プロダクトに何らかの明確な主張を持たせなければならない。今回のロードテストに供するモデルの波打ったボディパネルは、過去6世代を数える血統の上に成り立っている。
1989年型として投入された初代は、エグゼクティブ・サルーンの頭文字と排気量を示す数字からES250と銘打たれ、レクサスの最初のラインナップを構成する一台となった。トヨタ・カムリと共通する2.5ℓV6を積んだFF車で、レクサスの中型セダンのテンプレートを確立したモデルだ。その後、2010年型では4気筒エンジンが追加され、先代モデルではハイブリッド仕様もラインナップされた。
母国たる日本ではかつてウィンダムの名で販売され、空白期間を置いて現行モデルからESとして投入されることとなったが、欧州では今回が初導入。累計230万台の販売実績を引っ提げ、日米以外ではかつてなかったほどに大々的な広告で売り込もうとしている。欧州におけるレクサスの存在感は、クロスオーバーのNXや華麗なるスポーツクーペのLCにより倍加し、斬新で各車種に一貫したデザイン言語は認知度を高めた。BMW5シリーズやアウディA6、メルセデス・ベンツEクラスからシェアを奪取しようと目指すなら、ひとびとがどのブランドのクルマか見分けがつくということは重要である。
この市場で実のある成功を収めるためには、売れ行きの悪いGSに代わるモデルは、レクサスの定評あるクリエイティブな内装デザインを維持したまま、明確な質感向上を図る必要がある。前輪駆動である以上、卓越した運動性能は期待できないだろうが、快適性や精密なコントロールを実現するべく、サスペンションの調整も入念に行わなければならない。
この新型ESはハイブリッドなので、燃費効率面では確実に際立つことが求められ、老舗モデルに比べれば新顔であるので、そうしたライバルを上回るバリューを示さなければならない。そうした挑戦に向け、ドライブトレインの新技術や、共用プラットフォーム採用による生産コスト軽減など、レクサスは万全の準備を整えたように思える。では、ESがどれだけそれを実現しているのか、これから明らかにしていこう。