ロードテスト シトロエンC5エアクロス ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2019.02.23 16:50 更新 : 2021.03.05 21:42
走り ★★★★★★★☆☆☆
テスト車の直線加速は、ほぼスペック表どおりだった。0-97km/hのタイムは9秒フラットで、これは公称値のコンマ5秒落ちだが、われわれのテスト条件は2名乗車・満タンで、しかも今回は気温もトラクションも低い朝。176psの背が高いSUVでAT車とくれば、それほど期待はできないコンディションだ。それでも8段ATのつながりはクイックで、変速は活発かつ効率的である。
この2.0ℓディーゼルエンジンは、概して静粛なユニットだ。アイドリング時や低速時、また巡航時には、耳障りなことはそう多くない。ただし、おとなしくでも加速すると、ノイズが耳に届き始める。もしもハードに回せば、トップエンドではガチャガチャいう雑音が抑えられた音質ながらもはっきりと聞き取れ、やや気に触るところもある。
けれどもシフトダウンはスムースで、パートスロットルでのシフトはほとんど体感できないほど。ステアリングコラムにマウントされたパドルでもシフトチェンジできるが、このクルマのオーナーがそれを使う機会は果たして多いだろうか疑問が残る。それは、複数用意された走行モードについても同様だ。センターコンソールのエコスイッチを押せば、ややまったりしたレスポンスとなるが、これは加速のスタイルをアジャストすれば同じような結果を得られる。
スポーツボタンを押しても、ギアボックスに積極的なキックダウンや低いギアのキープを求めるなら、それ相応のスロットル操作が必要だが、それはやはり、C5エアクロスの顧客層に想定される走りの範疇を超えたものだ。結局、ノーマルモードでの規定値通りの走りがこのクルマには最適で、おそらくそのまま走るユーザーが大半を占めることになるのではないだろうか。
ブレーキ性能は良好で、操作時のペダルフィールも適切。とはいえ、止まり方が上品かと問われれば、それはまた別の話だといいたい。減速して、最後は穏やかに停止したいと思っても、最後の数km/hはコントロールが利かず、ガタつきが発生してしまう。おそらく原因はギアボックスの動作ではないだろうか。もしくは、アイドリングストップをカットすると多少は改善されるので、そちらかもしれない。過剰な電気式パーキングブレーキのせいではなさそうだ。いずれにしても、これだというドライビングの決め手は見つからず、せっかく目的もなく走り回るのにぴったりのドライブトレインを備えたクルマとしては、それが腹立たしくてならない。
テストコース
ミルブルックのヒルルートは、C5エアクロスにとって望ましいフィールドではなかった。このコースの鋭く路面の傾いたコーナーや大幅な高度差は、しばしば背の高いクルマに特有の高い重心を強調する。それは、このクルマも例外ではなかった。
タイトなコーナーやヘアピンでのロールは大きいが、少なくとも唐突ではなく予測もしやすい。それより問題なのはステアリングで、時として軽すぎるのに加え、レスポンスに一貫性がないのだ。ラインを維持するためにコーナー中盤で急な切り戻しや切り足しをしなければならないのは、愉快な経験ではない。
フロントのグリップは期待どおりだが、それ以上ではない。オーバースピードでコーナーに進入したり、コーナー中盤まで大雑把にスロットル操作をしていたりすると、このシトロエンのノーズは、容易に回復できる程度ながらもアンダーステアで押し流される。
T1手前でのトランスミッションに由来する衝撃は、強烈なショックとしてキャビンに伝わる。
T5での沈み込みは、一般的には極めて強烈なスタビリティ制御デバイスの介入を引き起こすが、このシトロエンのリアクションはそれほど不器用なものではない。
トルキーなディーゼルエンジンは、C5エアクロスの1540kgのウェイトを坂の上まで引っ張りあげるのに大きな音を撒き散らす。
発進加速
テストトラック条件:湿潤路面/気温6℃
0-402m発進加速:16.9秒(到達速度:135.8km/h)
0-1000m発進加速:30.7秒(到達速度:170.9km/h)
ボルボXC40 D4 AWDファーストエディション(2018年)
テストトラック条件:湿潤路面/気温5℃
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:135.3km/h)
0-1000m発進加速:30.3秒(到達速度:172.7km/h)
テスト条件:湿潤路面/気温6℃
97-0km/h制動時間:2.83秒
ボルボXC40 D4 AWDファーストエディション(2018年)
テスト条件:湿潤路面/気温5℃