クルマの故障診断の秘密、伝道師に聞く エラーコードは当てにならない?
公開 : 2019.02.23 07:50
始まりはオシロスコープ
この話を聞いて興味を持ったものの、暖炉の前から動きたくないというのであれば、オシロスコープの1種であるピコスコープを使った主要10項目のテスト方法や、診断作業の進め方など、YouTubeにたくさんある彼の実演映像を見るだけでもいいかも知れない。
フランクが自動車の診断装置に興味を持ち始めたのは、モーターマスターズというチューニングショップを営んでいた1985年当時にまで遡る。
彼はその頃を振り返って、「ちょうど電子制御燃料噴射装置のような、新しい技術の導入が始まったころでした」と話している。
「同業者のあいだでも、どう手を付けたものか、まるでお手上げ状態でした。わたしはそこに目をつけ、オシロスコープを調達して、電気系統の診断方法を独学で学んだのです」
瞬く間にその道の権威となったフランクは、ワークショップを開催して、早見表のような不確かな診断ではなく、信号の強さを測定することで、不具合の原因に辿り着く方法を他のメカニックたちに教え始めたのだ。
その後、2000年に新たな排出ガス規制が施行されると、自動車の電子制御化が加速度的に進むとともに、エアコンやパワーウインドウ、集中ドアロックにアダプティブサスペンションなど、制御する範囲も爆発的に広がっている。
「一般の工場ではたらくメカニックにとっては、まるでイタチごっこの状態でした。ただただ、診断装置とトレーニングに莫大な投資をするだけだったのです」とフランクは話している。
だが、彼のそばには常にオシロスコープがあった。彼は「エラー読み取り機、いわゆるスキャンツールですが、これは症状を教えてくれるだけです。オシロスコープなら原因まで特定することができます」と彼は言う。
「スキャンツールでは原因の半分までしか確認出来ませんが、オシロスコープであれば、信号の波形まで読み取ることができるため、原因の特定が可能なのです」