幻のセレニッシマ、3台を解説 スパイダーは5億円超え アールキュリアル・オークション
公開 : 2019.02.21 06:10 更新 : 2020.12.08 18:08
セレニッシマ・スパイダー
今回出品されたセレニッシマ・スパイダーは、308/Vジェット・ベルリネッタからファントッツィによりアルミ製のスパイダーに改装されたもので、エンジンはフェラーリで活躍したアルベルト・マッシミーノが開発した90°V8 OHC 3.5ℓユニットがミドに積まれる。
こうして誕生したセレニッシマ・スパイダーは1966年のル・マン24時間に挑む。この時期は「スクーデリア・セレニッシマ」が休止していたため、「スクーデリア・サンマルコ」からのエントリーで、写真家であるとともに、ボブスレーやモータースポーツでも活躍したジャン・クロード・ソエとジャン・ド・モルトマートにステアリングが託された。
出品された3台のセレニッシマは、オーナーであるヴォルピ伯爵のコレクションから放出されたもの。中でもセレニッシマ・スパイダーは、1966年のル・マン24時間を闘い終えたそのままの姿を保つバーン・ファインドといえる状態だ。
しかし、アルミ製のボディは経年の痛みが見られるものの、ゼッケンをはがした以外は完璧にオリジナルを保っている。アルベルト・マッシミーノが開発した90°V8 OHC 3.5ℓユニットも不動状態にあるがそのまま残されており、まさにタイムカプセルといえる1台である。
もはや現存しないと思われていたマシンの出現から入札がヒートアップし、最終的に421.88万ユーロ/5億2735万円で決着がついた。
アンチ・フェラーリで作られた独創的なその姿を、この後のクラシックカー・イベントで見られることを期待したい。
アールキュリアル・レトロモビル・オークションには、他にも2台のセレニッシマが出品されたので紹介しよう。