初試乗 メルセデス-AMG A45S プロトタイプ 1ℓ当たり210ps 先進の四輪駆動
公開 : 2019.02.22 10:10
ドリフトモードを呼び出す秘密のコマンド
「ドリフトモード」で走行するには、ボタンを押す他に操作が必要となる。初めにレンジャーは、フロントシートの間に備わるタッチパッドを操作して、ドライビングモードをスクロールし、コンフォート、スポーツ、スポーツ+、スリッパリー(滑りやすい)、インディビジュアルと順に表示させ、レースモードを選択した。
それからESPのボタンを押してOFFにし、ステアリングホイールに取り付けられたシフトパドルを左右同時に前方へ押して、マニュアルモードにし、最後に右側のパドルを手前に引いた。「これが実行コマンドです。これをしないと、通常のレースモードにしかなりません」とレンジャーは説明する。この操作が完了すると、インスツルメント・モニターには「ドリフト」の文字が表示された。
クルマをスタートさせると、ほとんど即座にエンジンは5000rpmを超え、ステアリングホイールをわずかに左右に動かすだけで、A45S 4マティックのリアは踊るように左右にスライドする。巨大なスキッドパンを100mも走らないうちに、フロントガラスではなく、助手席側の窓で進路を見定めるような姿勢になった。ステアリングホイールは思いっきりカウンターを当てた状態で、クルマは反時計回りに、円を描きながら滑っていく。
新しい四輪駆動システムは、左右の後輪へのトルク配分を制御できるようになっただけでなく、その反応時間も向上しているという。「スロットルに対するレスポンスが向上しています。後輪の駆動力の制御も正確性を高めているので、従来ほど獰猛ではなくなりました」数分間も定常円旋回のドリフトを楽しんだあと、またそれを繰り返す。エンジンの回転数は、しっかりタイヤへと伝わり、氷上でもトラクションが発生しているのは明らかだ。