メルセデス・ベンツE350ブルーテックAMGスポーツ

公開 : 2013.05.08 18:22　　更新 : 2017.05.13 12:51

■どんなクルマ？

英国の路上でW212・Eクラス・サルーンをドライブする最初の機会だった。新しいEクラスは、特徴的な4ライトが廃止されたことでも、デザイン上の変化は明らかだ。また、従来の伝統的な薄い板が使われていたフロント・グリルも廃止され、Cクラスに使われているツイン・ストラットのものとなっている。

ちなみにEクラスのエンジン・ラインナップは、ガソリン・エンジンが従来の1.8ℓから2.0ℓに改められ、181bhpのE200と、208bhpのE250というラインナップになった。また、31bhp上がった549bhpのパワーを持つE63 AMGも健在だ。

ディーゼルは、2.1ℓ4気筒が、168bhpバージョンがE220 CDIに、201bhpバージョンがE250 CDIに搭載される。また、201bhpのエンジンと27bhpのモーターを組み合わせたE300ブルーテック・ハイブリッドも用意される。更には、249bhpの3.0ℓV6エンジンを搭載したE350ブルーテックがディーゼル・モデルのトップに据えられる。

4気筒モデルには、SEとAMGスポーツの2つのトリムが用意されるが、V6ディーゼルにはスポーティなAMGスポーツ・トリムのみの設定となる。また、トランスミッションはE200のみが6速マニュアルが用意されるが、それ以外のモデルはすべて7速オートマティックとの組み合わせとなる。

■どんな感じ？

デザイナーがSEトリムより派手というAMGスポーツのルックスは、SEの18インチよりも大きなAMGホイールや、リア・エプロン、サイド・スカート、シルバーのシャープなスピリッターを持つアグレッシブなノーズなどで形成される。インテテリアも、AMGステアリング‥ホイールとスポーツ・シートなどでよりスポーティに仕上がっている。

従来のコンベンショナルなセンターに配置されたシフト・レバーはコラムに移動し、高性能な時計がダッシュ中央に付く。また、センターにあった肘掛けと引き出しは廃止されちえる。

スポーティなエクテリアと豪華なインテリアというのが、このAMGスポーツの狙いとのことだが、それは両方共達成されているといって良い。但し、5人目のシートはスペースの関係もあってさすがに厳しい。その代わりに、大きなトランク・スペースがしっかりと確保されている。

ドライバーの着座位置は低い。しかし、本革シートは快適だ。若干幅が広く、横方向のサポートが弱い気もするが、調整は可能だ。

そのV6ディーゼルは分厚いトルクを持つパフォーマーで、ターボ・ラグもほとんど感じない。さすがに3500rpm以上になると若干粗く聞こえるが、アイドリングからハイウェイ・クルーズまで、非常に洗練されたパワー・ユニットだ。

7速ギアボックスは、キックダウンを嫌う傾向が見られたが、必要な時にはきっちりとシフト・ダウンしてくれる。パドル・シフトは若干のタイムラグがあるが、スムーズな変速を約束してくれるものだ。

ルックスの派手さにも関わらず、キャビンの中は贅沢な設えがされている。もし、快適性を望むのであれば、ノー・コスト・オプションとなるSEスペックの柔からダンパーを選ぶこともできるし、それよりも£1,455(22万円)のオプションとなるが、エアマティック・サスペンションを選ぶのが賢い選択だろう。

コンフォート・モードによる乗り心地は崇高で、シャープなバンプを乗り越える時以外は、ほとんど振動を伝えない。A級国道やB級国道でも、適度なスピードであれば快適なドライビングが可能だ。

少しテンポアップすると、ロールとピッチ、ダイブが感じられるようになるが、それはスポーツ・モードへと切り替えることによって対処できる。ボディ・コントロールが改善されるのだ。しかし、本当にスポーツ・モードがスポーティかといえばそうではない。どちらのモードにしても、トラクションを得る前に、キャビンがローリングしてしまうのだ。

ステアリングは非常に正確で、フィードバックがやや少ない気がするが、問題となるようなものではない。また、ブレーキはストロークが短いものの、コントローラブルで、効きも良い。

■「買い」か？

£1,455(22万円)のエアマティック・サスペンションを付けたE350ブルーテックAMGスポーツは、パッシブ・ダンパーを装着したBMW 530d Mスポーツよりも£1,690(26万円)も安いのだ。そして、ほぼ同等のパワーと、8.2kg-m大きいトルクを得ることができる。更に、標準でアクティブ・パーク・アシストもつく。BMWは経済性とダイナミクスを売りにしているが、快適性を考えればE350ブルーテックAMGスポーツに分があるようだ。

(リチャード・ウェーバー)