アウディA8ハイブリッド
公開 : 2012.03.28 14:52 更新 : 2017.05.29 18:18
■どんなクルマ?
アウディA8ハイブリッドは、208bhpを発揮するターボチャージャー付きの2.0リッター・ガソリン・エンジンと、1.3kWhのバッテリーパックでバックアップされる53bhpの電気モーターが搭載されたモデルだ。トップ・サルーンには珍しく、平凡な4気筒エンジンと電気モーターをハイブリッド・エレクトリック・トランスミッションでつないでいる。
このセグメントのハイブリッドは、共に英国での販売はないが、通常メルセデスS400のようなV6か、BMW7シリーズのようなV8が搭載される。英国で販売されているライバルで言えば、レクサスLS600hだが、やはりV8エンジン、それもアウディA8の倍のサイズのエンジンを搭載している。但しその経済性は、燃費が10.8km/l、CO2排出量が218g/kmと、数値的にはアウディの15.9km/l、147g/kmのライバルではない。
バッテリーはトランクに搭載されるが、標準的なサイズよりも小さく、バッテリーだけでの走行距離は3km、最高速度も100km/hに限られる。電気モーターは、本来トルク・コンバーターが位置するトランスミッション・ケースのベルハウジングの中に押し込まれている。そして、その電気モーターは、8速ギアボックスのデュアル・マス・フライホイールに取り付けられたクラッチ・パックのまわりで回転するという方式だ。
エクステリアではシルバー・メタリックにペイントされた19インチ・ホイールが特徴的だ。一方、インテリアでは、レブ・カウンターがパワーメーターに変えられたインストルメント・パネルが通常のモデルと異なるところ。
また、アクティブ・ノイズ・キャンセルがこのA8ハイブリッドにも付けられている。それは、ヘッドライニングに4つのマイクロフォンをはめ込んで、ノイズを打ち消す音をサウンド・システムから発するというもの。これによりアウディはノイズが75%低減されるとしている。
■どんな感じ?
慎ましやかな4気筒エンジンではあるが、それでも十二分なパワーをもたらす。このクルマは滑らからで十分に速い。加速中にも十分で滑らかなトルクを出すモーターの補助があるのだから、クルマは4気筒エンジン以上の性能を発揮することになる。
クルマが惰性で進んでいる時は、エンジンはストップし、トランスミッションからの接続を解除される。再びエンジンに火がが入れられる時は、僅かに鈍い音が感じられるが、そのつなぎは実にスムーズだ。
19インチ・アロイホイールは、くぼみをよく拾うとはいえ、ドイツの路上においては、総じて乗り心地は非常に良い。ドライバーはリラックスしてステアリングを握ることができる。それは、このサイズとタイプのクルマにとっては重要なことだ。
また、ノイズ・キャンセルがどのぐらいの効用があるのかを特定するのは難しいが、キャビンの中は非常に静かだ。
残りについては、スタンダードなA8に準じているといえる。可変エア・サスペンション、ヴァルコナの本革シート、3ゾーンのエアコン、HDDタイプの衛星ナビ、そして630WのBOSEのHi-Fiステレオなどが装備される。
■「買い」か?
ヨーロッパでアウディA8ハイブリッドは77,000ユーロ(850万円)の価格が付けられ、英国では2013年の第1四半期に販売が開始される。標準的なFWDの3.0リッターV6が158g/kmのCO2排出量なので、ハイブリッドはそれよりも良い数値を得ていることになる。3.0リッターV6のディーゼル・クワトロはほぼ同じ値だが、価格も同程度となってしまう。
このハイブリッドに問題があるとすれば、しばしばVIPのために使わなければならないことがあるにもかかわらず、バッテリー・パックのためにトランク・スペースが犠牲にされてしまっていることだ。
アウディはこのハイブリッドの主な市場は中国と北米だという。しかし、こと英国においては、トランク・スペースも必要なく、ディーゼルを本当に嫌うという理由だけで存在するA8ハイブリッドは、エコの名を語る骨董品に過ぎない存在なのかもしれない。
(ヒルトン・ホロウェイ)
アウディA8ハイブリッド
価格 | NA |
最高速度 | 235km/h |
0-100km/h加速 | 7.7秒 |
燃費 | 15.9km/l |
Co2排出量 | 147g/km |
乾燥重量 | 1870kg |
エンジン | 直列4気筒1984ccターボ+電気モーター |
最高出力 | 208bhp/4300rpm-6000rpm |
最大トルク | 21.4kg-m |
ギアボックス | 8速ティプトロニック |