ホンダ英の工場閉鎖 本当にEU離脱と無関係? カギは電動化と関税
公開 : 2019.03.04 11:10
英国に衝撃をもたらしたホンダのスウィンドン工場閉鎖のニュースですが、その発表のタイミングから、どうしても英国のEU離脱の影響を感じないわけにはいきません。真の理由について、関係者や業界のエキスパートに話を聞きました。カギは電動化と関税にあるようです。
もくじ
ー スウィンドン閉鎖 選択と集中
ー 真の理由 関税と電動化
ー 番外編:数字で見るスウィンドン工場
スウィンドン閉鎖 選択と集中
およそ3500人が働くスウィンドン工場をホンダが2021年に閉鎖するとのニュースは、日産がX-トレイルの生産拠点見直しを、ジャガー・ランドローバーが4500人にも上る人員削減を発表した時と同じく、この決定の背景には、英国のEU離脱問題が関わっているのではないかという議論を巻き起こしている。
ホンダの答えはノーであり、欧州ホンダのトップを務めるイアン・ハウエルズは、この決定は急速な電動化が進むなか、自動車業界がかつてない変革期を迎えていることがその理由だとしている。
「どこにリソースを投入すべきか、そして、それに相応しい市場の規模とはどれほどのものかを、慎重に見極める必要があります」と、米国、中国と日本の名を挙げながら、ハウエルズはBBCラジオ4に話している。
ホンダにとって、欧州での車両生産はもはやコストに見合わないものとなっていた。一時は好調だった欧州ビジネスだが、2008年の金融危機により苦境に陥り、スウィンドンの生産量も回復しないままだったのだ。
2007年には、工場生産能力の上限となる25万台近くの車両を送り出したものの、2015年には、需要の減少によってふたつある工場のひとつを休止したことで、その生産台数は11万9995台にまで半減している。
2018年中に、スウィンドンの主力車種であったアコード、ジャズにCR-Vといったモデルの生産が中止され、世界中でSUV需要が高まるなか、残されたのはシビックのみの状態だったのだ。
「ホンダのグローバルな生産体制のなかで、スウィンドンは決して主力工場ではありません」と、独立系自動車アナリスト、ポール・ニーウェンハイスは言う。
スウィンドンにとっての希望と言えたのが、2015年にホンダがここを世界で唯一となる、シビックの5ドア・ハッチバックモデルの生産拠点にしたことであり、想定外のヒットを記録した米国向けシビックもここで生産されている。