足るを知るとは? アルピーヌA110/マクラーレン・セナ同時テスト 後編

公開 : 2019.03.03 19:50  更新 : 2021.05.13 12:00

番外編:馬力競争はどこまでいくか

30年前のフェラーリテスタロッサは395ps、800psのセナの半分にも満たなかった。となると、2049年には1600psのクルマが現れるのだろうか。1200psくらいはあり得るかもしれない。怖がりすぎだろうか。

いずれにせよ、わたしには競争のあるべき姿が見えている。それはセナやA110がめざす方向だ。それに、オーナーたちも出力値そのものよりパワーウェイトレシオを自慢するようになれば、業界も軽量化にかじを切るはずだ。

ロータスの創設者コーリン・チャップマンは半世紀も前に「パワーを上げても直線で速くなるだけ、軽くすればすべての局面で速くなる」と看破したが、それは今の時代にもあてはまる。軽くなればなるほど、乗ってみても良いクルマになるのだ。

軽量化はさらなる好循環も引きおこす。たとえばボディと動力系を軽くしたとしよう。そうなればサスペンションもやたらと頑丈に造らなくてすむし、ブレーキもちいさく、タイヤも細くてすむ。つまりますます軽く造れるのだ。

ただ問題がひとつある。単純にパワーを上げるより、軽量化にはコストがはるかにかかるのだ。それでも、アルピーヌはA110で車重1100kgをわずかに上まわる程度に抑えつつ、5万ポンド(717万円)以下の価格を実現している。となれば、ほかのメーカーだって追随できるはずだ。

おおざっぱに言うなら、たとえばブガッティ・シロンは1500psで車重2トンだ。もしこれを750psで1トンにできたなら、パワーウェイトレシオこそおなじでもまさに生まれ変わったような運転感覚になるはずだ。

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