結論　★★★★★★★★☆☆

「ルックスは上々、有能で実用的なワゴン。ほんのわずかな欠点はあるが」

SUVもワゴンもセダンも、ボルボの最新モデル群は、ユーザーだけでなくオートカーのロードテスターたちの琴線にも触れるものだった。このメーカーはほぼ一貫して、見栄えがグレートで、円熟味も動力性能も実用性もすばらしいクルマを造り続けてきた。

全般的に、V60は文字通りこのトレンドに沿ったクルマだ。しかもボルボの伝統的な魅力の基礎となっている、直接のライバルよりかなり大きな荷室も備えている。それはアウディやBMW、さらにメルセデスさえ及ばない広さだ。ルックスもいいが中身も良く、驚くほどの運動性能や正真正銘の広さと商品力を備えたインテリアも兼ね備えて、ますます魅力を高めている。

ただし、懸念材料もないわけではない。荒れた路面では乗り心地が乱されることもあり、エンジンはがさつなところがあり、パフォーマンスはやや物足りない。そうしたもろもろを考え合わせると、V60はミドル級ワゴンの勢力図を塗り替え、クラストップに輝くまでには至らない。とはいえ、ほんの僅差なのは確かで、出来栄えは賞賛に値する。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイヴィス

このクルマにパドルシフトを採用しなかったボルボの判断には好印象を抱いている。スポーツカーじゃないんだから。ただ、シフトレバーのマニュアルモードは、アップ／ダウンの前後を逆にするのがあるべき配置だ。

リチャード・レーン

ボルボの、心安らぐ古臭さが消えたのは寂しくもある。いわゆるブロンドシティウィーブ、あの格子柄にはまさしく70年代的な高級感が漂う。

オプション追加のアドバイス

オプションの18インチホイールはいかにも高級車というルックスを演出するが、標準装備の17インチなら775ポンド（約11.6万円）節約できるのも事実。浮いた予算を、825ポンド（約12.4万円）のエクセレントなハーマンカードン・サウンドシステムを装備する足しにするほうが賢明だ。

改善してほしいポイント

・あの4気筒エンジンでは、これ以上の洗練性を求めてもうまくいかないだろう。ちょっとばかり音が大きすぎる。
・ATが発進時にギア選択をもたつくのはどうにかしてほしい。
・インテリアにミニマリストなデザインを求めるなら、エアコンの実体スイッチは備え付けたくないだろう。しかし実用面を考えれば、あった方が絶対にいい。

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