ラインの終わりは旅のはじまり 完成車の輸送行程を追う
公開 : 2019.03.16 18:50 更新 : 2021.03.05 21:36
完成車の配送作業へ
とはいってもタイヤを鳴らしたりはせず、異音を判別しやすくするためにデコボコ道などさまざまな路面をきまった速度で走るのだ。コースにはクルマがところ狭しと走っていて、眺めているとここで生産される3つのモデルの割合もおおよそ見えてくる。
いちばん多いのがスポルテージで、シードもけっこういる。そして忘れた頃にヴェンガがやってくるという具合だ。やっぱりというか、さながらジリナのユニコーンと言ってもいいほどいちばん珍しかったのは、青いオートマティックのヴェンガだった。
走行試験を終えるとシードはまた工場へもどり、コンベアに乗って最後の行程へむかう。まず自動洗車場のような装置で水漏れ検査をおこない、煌々と灯りのともった部屋でボディの仕上げをくまなく調べる。すべて合格したら、プラスティックの保護シートをボディに張られて出荷を待つ。
クルマ1台を運ぶなら運転手に行き先を告げるだけでかんたんな話だが、さすがに数千となると脳みそ爆発ものだろう。ジリナ工場での生産は週6500台にものぼるのだ。
クルマはまず、ヨーロッパ中の配送センターへむけて出荷される。そのうち英国向けのモデルはまずドイツのクックスハーフェンへ陸送され、そこで船舶へ積み替えられる。陸送部分を担うのは鉄道とトラックの両者で、鉄道の方が経済的だが運搬能力が限られる。われわれの青いシードは夕方に出る鉄道便で運ぶことにきまった。