ラインの終わりは旅のはじまり 完成車の輸送行程を追う
公開 : 2019.03.16 18:50 更新 : 2021.03.05 21:36
急ピッチで進む船積み
悪天候のため船の入港が遅れ、ようやく夜になって積みこみが始まった。
われわれのシードが乗る貨物船フィンランディア・シーウェイズ号は規模じたいはそれほどでもなく、貨物艙の面積は運輸業界の単位でいうと2000「レーン・メーター」、満載時の総トン数は1万1000とちょっとだ。全体的には、ふつうのカーフェリーからスロットマシンとか馬鹿高いバーのような接客設備がなくなったものといえばだいたい想像がつくだろうか。
貨物艙は3層に分かれ、最上層は吹きさらしだ。最前部の甲板から上には、乗員用区画と一体となった艦橋がおおきくそそり立つ。運ぶのはクルマやトラックがおおいが、鉄道の機関車から風車まで混載はいくらでも可能だ。
延着のせいで積みこみは大急ぎだが、トレーラーがずんぐりした小型トラクター「タグマスター」に引かれて信じられないペースで下側の区画へ巧みに吸い込まれていくのを横目に、おおきなメインデッキにわれわれのシードが吸い込まれるところを何とかカメラにおさめることができた。じきにここもトレーラーで埋まってしまうのだ。