フィエスタSTでいくフォードゆかりの地 コルティナ

公開 : 2019.05.22 17:10

荘厳な風景

ポルドイ峠の終わりにさしかかると、右手には厳粛な石碑があった。第一次世界大戦でイタリアとの戦闘後、ドイツとオーストリア=ハンガリー帝国の兵士8582人が休んだとされる場所だ。この地で年中続いた戦闘で思惑が外れていたのだろう。コースは明確なストレートと雪で閉ざされたコーナーが入り乱れていたため、再びチェーンを装着すると、急峻な登りを踏みしめるように上っていった。

2239mの山頂につくと強風が吹き荒れており、長居はせずに次に向かった。下りは雪がうっすら積もる程度で、5km以上つづら折りが続きそうだったのでチェーンは外すことにした。

風の吹きすさぶ山道を抜け森の中に入ると、樹木の形にへこんだガードレールが目立つようになった。木材を運搬していた名残だろう。1900年代前半の旅行ブームでこの道路が整備される前には、木材は河川で運搬されていた。

セッラ峠に登る途中(2244m)、写真撮影のため、われわれは眺めの良いヘアピンで足を止めた。他にクルマはなく、音もない。あるのはきしむガードレールとくるくると舞う雪だけだ。ふと自分が小さく思えた。

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